転職6回・48歳男性が“嘘求人”に振り回されても「焦りはない」ワケ
バブル崩壊後の経済低迷期に社会に出たロスジェネ世代の貧困などが社会問題化している。
昭和46年生まれのMさん(48歳・男性・独身)は、過去に6回の転職を繰り返し、現在は7つ目の職場となる。その大きな理由として「求人票に書かれていた内容と現実の待遇が違い過ぎた」と話す。
Mさんは私立文系中堅大学を卒業後、大手電機メーカーの子会社でシステム販売の営業職に就職。毎日職場で罵声を浴びながら終電で帰る日々に2年で心身を病み、平成8年から12年まで事務職として法律事務所に転職した。
その後、平成12年から27年頃まで医療系社団法人に務めたが、東日本大震災の影響で会員が減った影響から自己都合退職。さらに40代半ばにして建設会社で8か月、医療系IT企業で6か月など、短期間に2社1団体を渡り歩き、今年6月からは7つ目の会社に勤めている。
最初の会社は営業だが、総務・経理・人事などバックオフィス業務に長年、正社員・正規職員として従事してきたMさん。職場を転々とする理由として、求人票と実際の仕事内容や待遇が違うケースが一番多いという。
「景気が悪い時は悪い時で良くない求人票が多かったんですが、いまは人手不足ということで、嘘をついて良く見せている求人票が多い。入社後にもらう雇用契約書などの方が求人票より効力が強いし、最初のうちは我慢しているんですけど、あまりにも“バック”が大きくなってくると転職というパターンが私は多いです。
経験上、内定後にすぐ条件書や雇用契約書を提示しない会社は、求人票より待遇が悪いことが多いですね。内定時にもらえればいいんですが、内定時は口頭で説明したり、入社後に渡したりする会社もあるので」
ハローワークの「嘘求人」は、かねてから問題視されており、厚生労働省の「ハローワーク求人ホットライン」など相談窓口もあるが、まだまだ蔓延している実態をMさんは訴える。
「労政事務所や労働基準監督署は、入社後に明確な労基法の違反や雇用契約書の範囲からよほど逸脱していない限り、動きにくい。私は弁護士会の知人も多いので何かトラブルがあったら相談できますが、普通に民事で弁護士を雇うと着手金何十万円とか掛かるので、みんな泣き寝入りしています」
Mさんにとって一番ターニングポイントになったのが、法律事務所で働いた4年間の経験だ。
「そこで社労士と行政書士の資格を取り、法学部出身ではなかったんですが法律のことを学べて、自分なりに変な会社に遭遇したときの対処方法を身につけられました。普段からちゃんと証拠として日記などに記録して、退職を迫られた際などは退職する代わりに金銭を請求すると有効です。
試用期間中に納得いかない理由で辞めさせられる場合は月給6か月分、試用期間でなければ月給12か月分、ボーナス抜きの年収を取れるかもしれない。パワハラがひどくて8か月でやめた建設会社では、退職する代わりに弁護士費用120万円込みで400万円支払ってもらいました」
負のスパイラルから抜け出すことが難しいなか、ブラック企業を渡り歩いてきたMさんには独自の生存戦略があるという。現在48歳、人生の折り返し地点を過ぎている。そんな彼が辿り着いた境地とは!?
48歳男性の転職人生「嘘求人に泣き寝入りしたくない…」
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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