更新日:2023年05月13日 09:17
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スーパーのレシートって必要? キャッシュレス決済の未来を考える

ファックスとレシート

 日本では今でもファックスが広く使われている。これは海外のビジネスパーソンの間でもよく知られたことだ。  ファックスは2000年代までにはその役目を終えると言われていた。今年9月にポケベルのサービスが終了したことは記憶に新しいが、一方でファックスは今でも新製品が投入されている。  それが良い悪いということではもちろんないが、日本人がファックスを求めるマインドは同時に紙のレシートを求めるマインドと共通している。その上、事業主にとっては「領収書問題」というものがある。  事業主は毎年の確定申告のために、必ず領収書を保管しなくてはならない。が、日本では電子帳簿保存法がそれを阻んだ。電子データの利用に関しては厳しい条件が付与され、結局は紙で出された原本を必要とする状態なのだ。その法律を改正し、キャッシュレス決済本来の持ち味を生かそうという動きがある。領収書の電子化が進めば、日常触れるレシートも当然ながら電子化されていくのが自然な流れだろう。

それでも「紙」はなくなる

レシート とある大手喫茶チェーン店の中は、発行された紙のレシートを持っていれば2杯目のコーヒーを割安価格で提供するサービスを行っている。  紙のレシートならではの商戦略で、それはそれで賢い手段ではある。レシートにQRコードを記載し、そこで求人情報などを配信することも。だが、今後はこのようなサービスに変化が訪れる可能性は少なくない。 「資源の節約」という視点から考えても、紙の使用は極力減らしたほうが店舗のイメージアップにつながる。実際に、スマホアプリやキャッシュレス決済サービスのプラットフォームを駆使した割引キャンペーンは海外では盛んに行われている。ここで、もう一度インドネシアの例を出そう。この国では『Go-Pay』というキャッシュレス決済サービスが普及しているが、それと連動する『Go-Points』という機能も存在する。これはその名の通り、Go-Payの利用で発生したポイントを蓄積する電子ウォレットだ。  紙のレシートを使った割引サービスよりも、キャッシュレス決済サービスのプラットフォームをフル活用したサービスのほうが、結果として合理的かつ複合的な仕組みを設計できるのではないか。いずれにせよ、紙のレシートは今後減っていくはずだ。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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