更新日:2020年01月02日 13:22
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今年の初詣、2020年にゆかりのある神社・仏閣は?

ネズミは神の使い?

 ネズミという動物は、洋の東西を問わず神の使いとして語られていることが多い。狐狸や蛇もそうだが、穴を出入りする動物は、こちらの世界と異界を往来している存在だと考えられるためだという人類学者もいる。  仏教の世界でネズミは大黒天の使いだとされている。七福神の一人でもある大黒天は、その福々しい表情からも来福の神として有名だが、元をたどるとヒンズー教のマハーカーラという暗黒の神からきているという恐ろしい一面もある。そう考えて、改めて大黒天を見るとその笑顔は屈託のないものではなく、笑ゥせぇるすまんの様に腹に何かを抱えているようにも見える。  都内で大黒天の有名なお寺といえば、まず目黒駅前の大圓寺だ。江戸城の裏鬼門を守っていた強力な大黒天なので、ご利益も相当なものだと言われる。また、鶯谷にある小さなお寺の英信寺には、「三面大黒天」といわれ大黒天の顔の左右に毘沙門天と弁財天の顔が付いているという異形だ。  日本には、暗黒の神だった時代の名残を残した大黒天の像例もある。福岡県にある観世音寺の大黒天像だ。平安時代の作である同像は日本最古級で国の重要文化財にも指定されている。一般的な大黒天のような2頭身ではなく、私たち人間と同じような姿をしていて、表情も厳しいという他では見られないものだ。
出雲大社ホームページ

画像:出雲大社ホームページ

 また島根県の出雲大社は「大国主命(オオクニヌシノミコト)」をご祭神としているが、古い時代から、これを「ダイコク」と読む習わしがあった。これはオオクニヌシノミコトを大黒天と同体とする考え方でもあるため、「いつか出雲大社に」と思っている方は2020年がその「いつか」かもしれない。  せっかくの初詣を、単なる「イベント」に終わらせず、少しでもグッとくるものにしたい。そんなことを思っているかたは、参考にしていただければ幸いだ。<文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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