箱根駅伝は“監督の檄”も見どころ。「男だろ!」が今年も見れる
1月2日から3日にかけて開催される箱根駅伝は、今年で96回大会を迎える。毎年30%近い視聴率を叩き出していることからも、その人気と注目っぷりが窺える大会だが、暇な正月に「ただなんとなく観ている」といった人も結構多いよう。
檄とは何ぞや? という人のために簡単に説明するが、箱根駅伝ではコースを走る選手の後ろに、各大学の監督らが乗る車(運営管理車)がつく。この車から、各大学の監督が走る選手に向けて“檄”を飛ばすのだ。中でも名物はやはり、駒澤大学・大八木弘明監督だろう。
元マラソン日本記録保持者・設楽悠太(Honda)や、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で2位に入り、東京五輪代表に内定した服部勇馬(トヨタ自動車)、山の神・柏原竜二などがOBとして名を連ねる東洋大学。同大学・酒井俊幸監督の“檄”にも注目したい。
第86回大会から監督を務め、同大会のほか、88.90大会を総合優勝に導いた手腕の持ち主である酒井監督だが、かなりのイケメンで女性ファンの支持も厚い。筆者の知人駅伝ファン(30代・女性)が「酒井監督がカッコよすぎて箱根駅伝を見始めた。それでハマったんです」と言うほどで、アイドル並みの人気である。そんな同監督だが、爽やかなルックスからは想像できない言葉を残している。
同大学のスローガン「その1秒を削り出せ」からの「1秒を削り出せ」といった力強い言葉から、中継車(選手の前を走る)に向かって「もっと前にお願いします。これから選手スピード上げます」のような、間接的に走者を鼓舞するメッセージもある。先ほど紹介した大八木監督のシンプルさとはまた違った魅力があるのだ。
ちなみに第91回大会、1区で駒澤大学OBでMGCの覇者、中村匠吾(富士通)が区間賞を獲得したレースでのこと。実況アナウンサーが「大八木監督から物凄い声が飛んでいる(中村に向けて)」と言ったシーンがあるのだが、実はこれ、よく聞くと酒井監督が首位争いから陥落した田口雅也(Honda)に飛ばしている檄。大八木監督と間違えてしまうほどの迫力というわけだ(笑)。
箱根駅伝の魅力は選手たちの思いが凝縮されたタスキが次の走者に渡る瞬間、例年繰り広げられる激しいシード権争いなど様々だが、駅伝にあまり興味のない人でもきっと楽しめるであろう風物詩もある。それは“檄”だ。
駒大、大八木監督の「男だろ!」に痺れよ
The根性論「男だろ!」の“檄”をはじめとした大八木語録は、駅伝ファンはもちろんのことそれ以外の人の印象にも残るようで、毎年SNS上で話題になるほど。大八木監督の名言がまとめられたサイトも。ちなみに「男だろ!」うちわ、なるものも存在する。 駅伝ファンでありスポーツライターの佐藤文孝氏は、大八木監督の言葉の力についてこう話す。 「大八木弘明監督のレース中の言葉に当てはまるのは『叱咤激励』という四字熟語。『男だろ!』はもはや駅伝ファンのみならず有名となっていますが、『さあ、気迫で行け!』『最後だ最後だ!』というようなものもあり、単純でも、どこか一昔前の『部活』などで聞かれたようなフレーズが多いんです。このことも、我々の記憶に刻まれ易い理由なのかもしれないですね」(佐藤氏、以下同じ) 同氏は、大八木監督と選手の信頼関係が成り立っていることについても言及する。 「熱を帯びた気持ちをそのまま言葉に変え投げかける、それこそ教え子たちとの信頼関係の上に成り立っていることは間違いないですよね。前回の箱根駅伝、3区を走り終えた後の中村大聖選手には『ありがとう、ありがとう、タイセイ、良かったよ!』と、こちらもシンプルながらも心からのねぎらいの言葉を贈っています」 厳しさだけでなく、労いの言葉も忘れない。第94回大会では、4区を走った高本真樹(SUBARU)がレース終了後、大八木監督の乗る運営管理車に深々と一礼をした場面がある。佐藤氏の言うように、まさに信頼関係が成り立っていることを象徴する一コマだった。
イケメン監督の言葉にも注目
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