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「ドラッグストアのレシート」で節税できる。元国税職員が解説

「セルフメディケーション税制」と「医療費控除」の選択方法

スイッチOTC医薬品の共通識別マーク

 ここからは、さらに細かくセルフメディケーション税制を利用する際の注意点について解説します。まず注意すべきは、「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」でなければセルフメディケーション税制を利用できないという点です。  難しい言い回しですが、要するに、次に挙げたいずれかの健康診断などを受けている必要があります。 1 特定健康診査(メタボ健診)または特定保健指導 2 予防接種(定期接種、インフルエンザの予防接種) 3 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診) 4 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等) 5 市町村が健康増進事業として実施するがん検診 6 市区町村が健康増進事業として実施する健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)  一般的に3に該当する方が多いと考えられますが、フリーランスなど、勤務先の健康診断を受けられない方は、インフルエンザの予防接種などを受けて、条件を満たすようにしてください。そして、健康診断の結果通知書や予防接種の領収書などを証明書類として確定申告の際に提出・提示する必要があります。  また、セルフメディケーション税制を利用するには、スイッチOTC医薬品を購入した際のレシートを保存しておかなくてはなりません。レシートは原本で保存する必要があり、インターネットから購入した場合、注文履歴の印刷では認められず、領収書を保存すべきという点も注意しましょう。  最後に「通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の両方の条件を満たす場合、どちらを選ぶべきか」という点について触れておきます。  前述のとおり、セルフメディケーション税制のほうが通常の医療費控除よりもハードルは低いのですが、どちらも使える場合は、控除額の大きなほうを選んだほうが有利。その意味で覚えておきたいのが、セルフメディケーション税制の上限額は8万8000円であるのに対し、医療費控除の上限額は200万円ということです。  つまり、大きな病気や怪我をせず、ドラッグストアだけで済んだ年はセルフメディケーション税制を使い、入院など多額の医療費がかかった年には通常の医療費控除を使うといった考えが合理的です。まずは1月1日から12月31日までの1年間に支払ったドラッグストアのレシートや医療費の領収書を集計して、どちらの控除を利用するべきかを比較してみましょう。
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