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<純烈物語>苦楽を共にしたマネジャーを観客の前で労った令和2年初ステージ<第30回>

ステージに呼び込まれ歌わされたマネジャーの山本(左から2番目)とアーティスト担当の新宮(右から3番目)

<第30回>紅白後の凱旋ライブは早朝5時まで酒井は楽屋に泊まり元日の生番組へ

「2019年、ありがとう。そして2020年もよろしくお願いします。さらにもう一人、皆様に感謝の歌をお届けしたいということで……タカシ・シングウ、そこにいる?」  2度目の紅白出場の報を、泣きながらメンバーに届けたクラウンレコードのアーティスト担当・新宮崇志が、舞台袖から引っ張り出される。両脇をメンバーにはさまれると捕まった宇宙人状態で、スタンドにつけられたままのマイクは頭上にあった。  酒井はマネジャーの山本浩光も呼び込み、2人に『プロポーズ』をリクエスト。メンバーとともに6人で歌った。1年間を走り終え、そして新たな一年のスタートにあたり苦楽をともにしてきた裏方のために、感謝の思いがファンに伝わる場をこしらえたのだ。 「本当にいろいろあった2019年ですけど、メンバーと我々が頑張れたのは皆さんの応援があってこそと、心から感謝申し上げます。今年は、歌唱の時はなんとか泣かずに耐えたんですけど、あの衣装を着ているDA PUMPの……(涙)。みんなやさしいなと、そのやさしさが身に染みて最高の締めくくりの2019年になったと思います。本当にどうもありがとうございました!」  言葉に詰まる新宮へ、温かい拍手が贈られる。厳密には年をまたいではいたが、純烈激動の2019年最後の感動は紅白後のホームリングで待っていた。続いて山本も感謝の意を述べる。 「去年の頭から大変なことがあって、年末の紅白に出られると思っていなかったんですけどファンの方やスタッフだったり、友井(雄亮)のこととかを考えたら絶対に出ないといけないとすごくありまして、ファンの方々からも背中を押していただいて、勇気をいただいたことで一年間頑張ってこられと思います。本当にありがとうございます」  そのシーンを眺めながら純烈とはメンバーの4人だけを差すのではなく、純烈丸という船の乗組員全員のことなのだと改めて実感できた。凱旋ライブは、歌ではなくそんな感謝の思いをこめた所信表明によって締めくくられた。すでに、酒井の声はガラガラだった。  それでもラストを締めるのが、この男の務めである。普段は誰よりもバカなことを言っているのに、こういう時はリーダー然としており、ハッとさせられるほどだった。
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まずは3年連続紅白出場を旗印に
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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