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<純烈物語>苦楽を共にしたマネジャーを観客の前で労った令和2年初ステージ<第30回>

紅白出場歌手が出ると聞くや、子供たちを旦那に任せてでも見たくなった

「最初は意味がわからなかったです。だって、紅白歌合戦って昨日放送されたんじゃないんですよ。今日のことですよ……あ、12時すぎたから昨日でいいのか。とにかく、数時間前に紅白に出た人たちがなんで大江戸温泉に来るの!?って。無料で見られるっていうので覗きに来たんです。  初めて見ましたけど、あんなにもファンに対し気さくな人たちが本当に紅白に出たのだなんて今でも信じられない。私、音楽には疎くて申し訳ないけど、純烈のことを知らなくて。でも、そんな私のところまできてイケメンの方(おそらく白川裕二郎)が握手をしてくれたら舞い上がりますよ。いっぺんでファンになりました」  家族で来たが紅白出場歌手が出ると聞くや、子供たちを旦那に任せてでも見たくなったのだという。通常の大江戸温泉ライブは有料(立ち見は無料)だが、この日は入館料さえ払えば整理券を確保せずとも入れるスペースがある場合は観覧できる方式にした。その効果が、こうした形で現れた。  AI小田井が見られて得した気分になったという二十代の女性は「大江戸のライブは何度か来ているので、終わったら畳の上だからそのまま寝転がることができるかなと思ってきたんですけど、本当にあちこちで寝ているんで、じっさいに見るとビックリしますよね」と笑う。自分もそのつもりだったが、純烈のライブを見たばかりなのでテンションが高まり、眠くならないらしい。  アーティストがいる場所で寝てしまうなど、失礼と思う人もいるだろう。しかし、純烈にはむしろそんな風景が合っている。だからメンバーはもちろん、スタッフも口を出さない。  ライブハウスにおけるオールナイトイベントよりもフリーダムな空間。時刻は4時を過ぎていたが「71歳」と答えたお婆ちゃんは、眠ることなく起きていた。もうライブは終わったのだからと振ると「いんや、撮影会が終わるまではコンサートなんだから、私は起きているの。純烈の人たちだって眠いのに頑張っているじゃない」と返された。御見逸れしました。  撮影会後、楽屋でインタビューを1本受け終えると、酒井はそのまま落ちた。それでも午前10時半には寒さで目が覚め、風呂に入り温まった。楽屋に戻ると、荷物の中に「楽屋御見舞 嵐」と書かれた熨斗紙の貼られた箱が一つ。  生番組出演のあと、酒井が自宅に戻るのは元日の夜。そこでようやく妻に戦利品を渡せる。嵐によって、嵐のようだった2019年に本当の意味でピリオドが打てるというのも、できすぎな話ではないか――。 撮影/ヤナガワゴーッ!
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。
白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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