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「私語厳禁」の喫茶店が話題。店主を直撃した

 コーヒーを飲みながらほっとひと息つきたい、ゆっくりと読書を楽しみたい……けれど、チェーン店のカフェやコーヒーショップは騒がしくて落ち着かない。そんな人も少なくないはずだ。先日、次のような投稿がTwitterで1万8千以上のリツイートと5万8千以上のいいねを集めて話題を呼んだ。 「店内ルールが『私語厳禁』という高円寺の“アール座読書館”に行ってきました。お客さんはそれぞれ黙々と本を読んだり書き物をしたりしていました。水槽の水音やコーヒーを淹れる音が心地よく聴こえてくるのみの静かな空間なので、思考を止めて頭を休めたい方にオススメの場所です
アール座読書館

“私語厳禁”というルールが設けられた「アール座読書館」の店内。写真は、わーへりさん(@w_heritage_book)のTwitterより

 美しい写真が目を引くこのツイートの投稿者であるわーへりさん(@w_heritage_book)によれば、“私語厳禁”というルールが設けられているのは高円寺にある喫茶店「アール座読書館」。店内は非常に静かで、くつろぐには最適の空間であるという。  そこで今回は「アール座読書館」に取材を申し込み、このお店を開いた経緯や、実際にどういった人々が利用しているのかなど詳しい話を伺った。

お店のコンセプトは“現実逃避”

 話を聞かせてくれたのは、「アール座読書館」の店主・渡邊さんだ。まずは、話題を呼んだツイートの反響について。 「雑誌やテレビの取材を受けていないのにお客様がわっと増えるときは、ツイートがきっかけになっていることが多いです。今回も、お客様の大きな波がありました」(渡邊さん、以下同)  多くの人々が関心を寄せたのは、喫茶店なのに“私語厳禁”というルールが定められているところだろう。どういった経緯でこの一風変わった喫茶店が生まれたのだろうか。 「このお店を始める前から私は、一人の時間を作り、日常的なことを忘れ、頭のなかを整理する、といった用途で喫茶店を使っていました。しかし、東京には“本当に静かな場所”がなかったのです。周りを見ても、“本当に静かな場所”を必要としている人は多いように思えました。そこで、東京に一軒ぐらい音がない空間があっても良いだろうと考え、このお店を始めました」  こうして作られた“本当に静かな場所”の使い方について、店主である渡邊さんの思いとは? 「当店は“現実逃避”をテーマにしていますので、日常的なことを忘れるために使っていただければと思います。日頃思い煩っていることを一旦忘れて、真っ白にしていただいて、普段の生活とは関係のないことや役に立たないことに、頭を巡らす時間を作っていただければと思っています」

ひと息つきたい人たちのオアシス

静かな空間

写真は、わーへりさん(@w_heritage_book)のTwitterより

 では、実際に店を訪れた人々は、どのようにこの喫茶店を利用しているのだろうか。 「やはり多いのは、本を読む方と書き物をされる方ですね。また、編み物や手作業をされている方もいますし、パソコンで勉強されている方もよく見かけます。あとは、本当に何もしないでぼーっとされている方もいらっしゃいますね」  では、メインとなっている客層は? 「9割程度がお一人様で、年齢層はかなり広いですね。中学生ぐらいの方から杖をついている方まで来店されますが、おそらく30代の方がお客様としては一番多いのではないでしょうか。以前は女性のお客様が多く、男女比がかなり偏っていたのですが、最近では男性の方も増えてきているので、女性6割・男性4割といった割合になっていますね」  最後に、アール座読書館の今後について聞いてみた。 「今後はもう少し幅を広げていきたいと考えています。本当に“現実逃避”をするためのお店として、喫茶店や飲食店という枠を外れたところで、さまざまな企画やメニューを用意できればと思っています」  当初は、“私語厳禁”というルールや“現実逃避”というコンセプトがなかなか理解してもらえなかったという渡邊さん。だが、その思いは徐々に浸透していき、現在では、ひと息つきたい人々のオアシスとなっているようだ。<取材・文/A4studio>

アール座読書館
住所:東京都杉並区高円寺南3-57-6 2F
電話:03-3312-7941
営業時間:
平日 13:30~22:30(L.O 22:00)
※現在、事情により平日は20:00(L.O 19:30)まで
土日祝 12:00~22:30(L.O 22:00)
定休:月曜 ※祝日の場合は営業、翌火曜休み
http://r-books.jugem.jp/
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