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トランプ大統領を倒せる民主党候補。元NY市長ブルームバーグ氏“電撃参戦”でどうなる?

2人の候補者が唱えている「GAFA解体論」

――民主社会主義を標榜するサンダース氏やウォーレン氏は、GAFAの解体まで訴えている。 町山:2人の候補者が唱えている「GAFA解体論」はシンプルで、独禁法違反だから法に則って解体しろと言っているだけの話。GAFAに名を連ねるのはテック企業のプラットフォーマーばかりだが、ここに属していないテック従事者のほうが圧倒的に多く、彼らは特にウォーレン氏を支持している。  一方、ウォール街など投資筋は、GAFAが解体されれば株価を押し下げるため批判的に見ており、なかでも、株価下落でもっとも困る一人が最後に手を挙げたブルームバーグ氏です。彼の出馬理由は、第一に自由経済を蔑ろにし国家の品位を傷つけるトランプの打倒。第二に、同様に自由経済を脅かす社会主義者・サンダース氏を阻止することとしているが、本音の部分は、自らが保有する膨大な金融資産を守るために出馬したと見ていい。
エリザベス・ウォーレン(70)/上院議員

エリザベス・ウォーレン(70)/上院議員

――ブルームバーグ氏に勝算はあるのか。 町山:彼の強みは富豪ランキング700位以下のトランプ大統領を遥かに上回る圧倒的な資金力と、これまでビジネスで培ったマーケティング能力。スーパーチューズデーの直前に参戦したのは、ここ何回かの民主党候補者指名争いを分析して、初戦のアイオワから戦っても意味がないことを理解しているからでしょう。  また、民主党候補でありながら、党とは距離を保ち第三極的なポジションにいるのも、民主党も共和党もプロパーの支持者が激減しているので、この層を取りにいくのは利口ではないし、ネガティブな民主党のカラーが自分についてしまうのを避けている。選挙戦略では莫大な資金を背景に空中戦を展開しており、スーパーボウル以外にも、ローカルニュースが放映される夕方5時半から7時までの間はブルームバーグ氏のCMが繰り返し流されています。
ジョー・バイデン(77)/前副大統領

ジョー・バイデン(77)/前副大統領

――本選で戦う相手は、現職のトランプ大統領になるのは間違いない。 町山:サンダース氏やウォーレン氏の支持層は、格差が拡大するなか貧困に陥ってしまった人々で、前回、トランプ大統領に投票した層と重なる。そして、この層が現在の米国のマジョリティなのです。だから、トランプ大統領がこうした無党派層をうまく取り込んで勝利したように、民主党候補も本選に勝つには同じことをやるしかない。  つまり、今後はブティジェッジ氏やブルームバーグ氏が、サンダース氏やウォーレン氏が訴える政策をどの程度採り入れることができるかにかかってくる。ただ、ブティジェッジ氏にはその余地があるが、社会主義者を民主党から排除する目的で出馬したブルームバーグ氏には難しいでしょうね。  トランプ大統領に勝てる候補はいるのか? 雌雄を決すると言われる3月3日の「スーパーチューズデー」を見届けたい。
町山智浩氏

町山智浩氏

サンダース氏に猛追するブルームバーグ氏に注目

 2月19日に開かれた候補者討論会に参加するには、民主党が指定した4つの世論調査で10%以上の支持率を得ることが条件だったが、ブルームバーグ氏はこれをクリア。18日にNPRが実施した世論調査では支持率31%で、トップを走るサンダース氏に次ぐ2位だった(19%)。今後、どれだけ差を縮められるかがカギになりそうだ。

<民主党候補>

バーニー・サンダース(78)/上院議員/支持率28.6% ピート・ブティジェッジ(38)/前インディアナ州サウスベンド市長/支持率10.3% ジョー・バイデン(77)/前副大統領/支持率17.6% エリザベス・ウォーレン(70)/上院議員/支持率12.3% マイケル・ブルームバーグ(78)/前ニューヨーク市長/支持率15.9% ※「Real Clear Politics」2/12~18調べ

<2020年 アメリカ大統領選>

【予備選】 2月3日   アイオワ州党員集会 2月11日  ニューハンプシャー州予備選 2月22日  ネバタ州党員集会 3月3日   スーパーチューズデー 7月13~16日 民主党全国大会 8月24~27日 共和党全国大会 【本選挙】 9月29日~10月22日 民主・共和両党大統領候補者による討論会(3回) 11月3日 大統領選投開票 取材・文/週刊SPA!編集部 写真/各候補者のFacebook公式アカウントより ※週刊SPA!2/25発売より
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週刊SPA!3/3号(2/25発売)

表紙の人/ 川崎あや

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