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22歳女性が虐待する親から離れられない理由

「母は字が読めないから」親元を離れたいのにできない葛藤

虐待02 筆者が初めてA子に会ったとき、彼女は「母親から離れたい。このままだと死んでしまうかもしれない」と訴えていた。だが別の日には「母親から離れられない」と言い募り、さらにまた別の日には「母親から逃げたい」と言う。虐待の話以外は一貫性がないのだ。  筆者もまた彼女にしかるべき支援団体を紹介しようとしたり、両親と関係を断ったほうがいいとアドバイスをしたりした。だが、A子は母親との関係が悪化すると一時的にプチ家出をするが、ほとぼりが冷めるとまた戻ってしまう。  一度、なぜ両親と絶縁しないのか彼女に聞いてみたことがある。すると、意外な答えが帰ってきた。 「母親は字が読めないんです。ひらがなだけだと大丈夫なんですけど、ちょっと難しい漢字になるとまったく読めない。生活保護の制度もちゃんと理解しているのかよく分かりません。私がいないと母はどうなってしまうか…。頼りにされているから、逆に離れられないんです」 「毒親に悩んでいるなら、その親から離れる努力をしたらいいじゃないか」と思う読者もいるかもしれない。確かに、A子は22歳と若くはあるが立派な成人女性であり、親元から離れて暮らすことは物理的には不可能ではないだろう。  しかし、A子は親から自立したいけどそれができない葛藤に苦しんでいた。母親から頼りにされるたび、“親に愛されたかった”という未練が刺激され、一層親から離れられなくなっているように見えた。  その苦しみを、当人以外の人間が本当の意味で理解するのは難しいだろう。現在A子は、解離性障害を患っており働けない状態だ。ときおり、別の人格が出てくる症状まで出ている。  生まれ育ちばかりは当人の意思ではどうすることもできない。毒でしかない親の元に居続ける道をA子本人が選び取っているように見えるが、その選択の裏には親に愛されなかった生い立ちがある。そんなA子の行動をすべて「自己責任」で片付けることはできないだろう。 <取材・文/上原由佳子>
1988年沖縄県生まれ。高校中退後、キャッチのアルバイトをきっかけに、沖縄県内のキャバクラやクラブで働く。2015年高校卒業後、現在は佛教大学社会学部現代社会学科(通信制課程)に在籍。社会学を勉強するかたわら、キャバクラ時代に知り合った人脈を生かし、取材・執筆活動を行っている
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