仕事

新型コロナで退職代行依頼が増加。感染リスク無視で「出張に行け」と脅され…

在宅勤務で「あたらしい働き方」に覚醒した若者の本音

 一方で、こんな“新型”の退職代行希望者もいる。スポーツ用品メーカーに勤める伊藤大輝さん(仮名・20代)は、在宅勤務がきっかけで、退職代行の門戸を叩いた若手サラリーマンだ。 自宅作業「うちの会社は3月から在宅勤務を命じられました。最初の数日は『満員電車にも乗らず、特にイヤな上司と直接顔を合わせないなんて最高だ』と思いましたね。何かと大勢の前で罵倒されるのですが、その心配もない」  しかし、在宅でできる仕事には限界があり、さらにイベントが続々と中止になる中で飲み会や外出の機会も減少。伊藤さんは次第に時間を持て余すようになった。 「家にひとりでいる時間が長くなると、これまでのことをじっくり振り返るようになります。『俺はこの会社で、これまで何をしていたんだ』『イヤな上司に頭を下げ続けてサラリーマンをやっても何も残らないのでは』と考えるようになってしまって。コロナも怖いし、今は失業手当をもらいながら巣ごもりしたい」  コロナ騒動による在宅勤務という異例の事態に、これまでの自らの働き方に疑問を抱いてしまった伊藤さん。それなら「自分で辞表を出せば」と思うが、伊藤さんの退職代行業者に依頼するハードルは極めて低い。 「辞めたいと言ったらどうせイヤな顔をされて、キレられる。辞表を出した途端、『同じ業界にいられないようにしてやる』と脅された人も見てきました。わざわざそんな思いをするんだったら、数万円で弁護士に頼んでカタをつけてもらうほうが効率的じゃないですか?」

横行するコロナハラスメント

 前出の嵩原氏は語る。 「自分で退職の意思を告げるのが面倒くさいから、という理由での依頼は実際は少なく、『退職すると言ったら脅される』『絶対に認めてくれない』などブラック企業の過酷な労働環境に追い詰められている事例が多いのが現実です。また冒頭の田中さんの例のように、感染の危険があるにも関わらず出張を命じるような例は、明らかなハラスメント事案と言えるでしょう。  新型コロナウイルスという近代日本が経験したことのないような未曾有の出来事を前にして、上司のハラスメント体質や部下のモチベーションの低下など、これまで職場でひた隠しにされていた本音が一気に噴出するのでは」  退職代行業者にまで広がる新型コロナウイルスの余波。職場の「コロナハラスメント」に悩む前に知っておいて損はないはずだ。 【フォーゲル綜合法律事務所】 嵩原安三郎氏。’70年沖縄県生まれ。京都大学卒業後、’99年に弁護士登録。情報商材や副業詐欺など悪徳商法案件を数多く手がけるスペシャリスト 取材・文/アケミン
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