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新型コロナで退職代行依頼が増加。感染リスク無視で「出張に行け」と脅され…

未曾有のパンデミックで退職代行の依頼が殺到!?

 感染拡大は勢いを増す一方。ついに「パンデミック(世界的な流行)」となった新型コロナウイルスは、我々の「働き方」にも大きな影響を及ぼしている。 「急増しているのは、マスクやトイレットペーパーを買い占める人だけではない。実は退職代行を依頼する人も、ここ数週間で激増しているんです。特に夕方過ぎから夜中の問い合わせが連日、殺到しています」  明かすのは、これまで2000件以上の退職代行案件を手掛けてきたフォーゲル綜合法律事務所の嵩原安三郎弁護士だ。

『ウイルスなんて気にしすぎ!』出張を強制されたOLの窮状

 岩手県在住の田中美沙さん(仮名・40代)も弁護士に『コロナ退職』を相談したひとり。県内の部品メーカーに営業職として長年勤務しているシングルマザーだというが、その叫びは悲痛だ。 「このコロナ騒動のなか、社長から5日間の北海道出張を命じられたんです。北海道といえば感染者が相次いで報告されている“危険地域”なのに、道内をくまなく回ってこいとのお達しです。うちには5歳の娘もいますし、75歳になる父親は糖尿病を患っている。私はコロナ感染しても軽症で済むかもしれませんが、持病を持つ父親はどうなるか……」

コロナ感染者が急増するエリアへの出張要請を断り、窮地に陥った田中さん。「騒動で社長の本性が見えてしまった」(写真はイメージです)

 感染のリスクを冒してまで、出張に行くべきか。田中さんは自問した。 「あまりに不安で断ろうとしたのですが、社長は『マスコミに煽られてバカが!』『気にしすぎだ』と激怒。しまいには『この仕事を断ったら米粒ひとつ食えなくなるんだぞ!』とすごまれて、行かざるを得なくなりました。こんな非常事態下で、社員や家族の命をないがしろにする社長には、もうついていけない。  でもただでさえ人手不足なのに、ベテラン社員の私が辞めるといったら、執拗な引き止めに遭うことは目に見えています。悩み抜いた結果、縁をスッパリ切ろうと思い、退職代行を依頼することにしました」
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在宅勤務で「今のままでいいのか?」
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