「原発は素晴らしい」 子供たちを利用したPRに疑問

“洗脳”的教育

“洗脳”的教育が子供たちに与える影響は一目瞭然。事故が収束し、原発政策を見直し、真に「ぼくたちのみらい」が、子供たちのもとに運ばれることを願わずにいられない

 前述のような原子力啓発教育を受けた子供たちによって作られるのが、PRポスターや壁新聞。ポスターコンクールをウォッチしてきたブロガーの罪山罰太郎氏は話す。 「コンクールには、原子力の危険性を描いた作品の応募もあったそうですが、入選作は全て原発礼賛。極めて不誠実ですよね。穿った見方をすれば、『子供たちが原発は素晴らしいと言っている』と、子供を利用しているようなものです」  ただ、このポスターや情報誌『Dreamer』に投稿される子供たちの作品は、必ずしも大人の思惑どおりになっているとは言えないと、罪山氏は指摘する。 「原子力の危険性を何も知らずに描くから、メリットの部分が過剰に増幅され、結果としてある種の“狂気”を孕む作品になった。“原子力は地球を守る”なんてキャッチコピー、大人には思いつきませんよ。そこが好事家の目線としては興味深い。ただ、事故が起きた今、これらの絵を描いた子供たちが何を思っているか……。後悔していなければいいんですが」 【壁新聞発表会】 高校生を対象に行われる文部科学省主催の「壁新聞発表全国大会」。啓発教育よりも独自の調査研究を発表する場となっているが、当然のことながら反原発的な発表は入賞しない
壁新聞発表会

福島県の工業高専が発表した壁新聞は、自治体と東電の関係を夫婦にたとえ、その歴史を語るユニークなもの。事故発生後の東電の対応を見ると、一生懸命作った高校生たちが浮かばれない……

【原子力ポスターコンクール】 経済産業省と文部科学省が共催するポスターコンクール。小学生対象の子ども部門と、中学生以上対象の一般部門がある。事故を受けて中止を求める署名なども行われている
原子力ポスターコンクール

昨年行われた「第17回原子力ポスターコンクール」の応募要項。審査員にはフリーキャスターの伊藤聡子氏、立教大学教授の冨安敬二氏、東京工業大学教授の藤家洋一氏が並んでいる

― [子供向け原発教材]のヤバい中身【2】 ―
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