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[子供向け原発教材]はもはや洗脳だ

国により「原子力=安全」が刷り込まれてきた証しである「原子力啓発教育」。かわいらしいキャラや無邪気すぎるコピーが不気味さを醸し出す、子供向け原発啓発教育に震撼せよ!  プルトニウムは飲んでも大丈夫――。そんな恐ろしい主張をするキャラクター「プルト君」は’93年に作られた原発PRビデオに登場するキャラクターだ。さすがにその過激さに批判が相次ぎ、’99年には廃止になったが、実はこうした、子供向けの原発啓発教育は今日まで熱心に行われていた。
わくわく原子力ランド

小学生向けの『わくわく原子力ランド』。原発以外の発電方法にも触れるが、火力はガツガツエネルギーを消費するように描写されたりと、結果的には原発の優位性を印象操作している

 4月15日に、「大きな地震にも耐えられる」「放射性物質が漏れないように守られている」などと、現状に反する記載があるとして見直しが決まった『わくわく原子力ランド』もその一つだ。  ほかにも、何も知らない子供たちに原発推進のポスターを描かせる「原子力ポスターコンクール」や、中学生向けエネルギー情報誌『Dreamer』配布など、原発教育は、年々規模を拡大する形で続けられてきた。  しかし、原発事故後、『わくわく原子力ランド』や、ほかの原発教育サイトも続々と閉鎖されており、今ではそのほとんどを見ることができなくなった。  事故発生以来、隠されてしまった原発教育、一体どのような問題があるのだろうか。理科教育事情に詳しい京都女子大学教授・小波秀雄氏は、次のように指摘する。 「原発教育の問題点は主に2点。一つは、リスクや危険性を語らずに、安全性だけを強調していること。リスクがあるから安全対策をしているはずなのに、なぜかリスクの部分だけが抜け落ちている。それでは、“原発=安全”ということだけが頭に残ってしまいます。そしてもう一点は、教本のなかでひと言も『原発を推進しましょう』とは書かれていないにもかかわらず、巧妙に原発推進派へ誘導するような構成になっていること。また、教師も意図を汲んでそのように誘導する授業をする。知識や判断力の低い子供なら間違いなく原発は素晴らしいものだと思いこむでしょう。これは “洗脳教育”と言っても過言ではありません」 【チャレンジ!原子力ワールド】 ’08年に改定された新学習指導要領で原子力が重視されたため文部科学省と経済産業省が作成した原発啓発副読本。4月13日からダウンロードもできなくなっている
チャレンジ!原子力ワールド

こちらは中学生向け。冒頭で「原発周囲は放射線レベルが高く人体に影響がある?」「欧州では原発廃止国が増えている?」などの問いに「すべて“No”です」と豪語している

【Dreamer】 原発の立地調査などを請け負う財団法人「日本立地センター」が資源エネルギー庁の委託で作成する中学生向けエネルギー情報誌。イラスト投稿コーナーはアニメ系の絵が多数
Dreamer

イラストコーナー以外にも、部活コーナーや、電子工作コーナーなどもある。しかしメイン特集には原子力関連施設の見学ルポなどが登場

原子力イラストコンクール

毎回「原子力発電」「放射線」などのテーマに沿って募集されるイラスト。アニメ系のイラストも多く、生徒が自主的に投稿しているようだ

― [子供向け原発教材]のヤバい中身【1】 ―
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