援デリで生活再建資金を稼ぐ被災地女性

 被災した実家から持ってきた「思い出の品」は、二重のゴミ袋の中に入っていた。「出身は言いたくない」という齋藤千秋さんが地元を離れて、袋を開けるのはこれで3回目。彼女の心は、3月11日で止まったままだ。 「妹と犬は今も行方不明のまま。妹はもうダメ。諦めています。母は親戚のところにいます。私の職場も流されてしまい、地元にいても仕方がないので、新潟まで仕事を探しに行きました。でも、やれそうな仕事は何もなかった。仕方なく(出会い系)サイトで泊めてくれる人を探して迎えに来てもらって、その人の家に何泊かしました。お金もなかったので」  出会い系サイトに書き込んでいると、東京の援デリ業者にスカウトされ、GW前に上京。今は東京郊外で業者の用意した男にカラダを売り、地元で母親と一緒に暮らすための資金を稼いでいるという。 「こんなときだから風俗とかに抵抗はないけど、地元はけっこう小さい町なので、親戚にバレたら大変。だから、東京でやれて助かっています。でも、同じ親戚の家に避難している叔母さんと母の仲が悪く、体調も悪そうなので、かなり焦りますね。仮設住宅を建てている場所は街から遠くて、少ない求人の中で就職しようにも、通勤できない。だから、帰郷したらアパートを借りたいんですよね」  自らに定めたタイムリミットは、6月いっぱい。なんとか稼いで早く地元・宮城県に戻りたいが、東京の援デリ業界も不況で、日給は2万円が限界。彼女の生活再建の道は遠い。 ●齋藤千秋さん(仮名・25歳)宮城県南部出身 経済的に頼る相手もなく、新潟→東京と流れてきて援デリ業者で働くことに。詳細な出身地は「バレたくないし、思い出すから答えたくない」と、頑なに拒否。心の傷は癒えない ― 風俗嬢に転身した被災女性の悲劇【6】 ―
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