Nintendo Switch争奪戦が止まらない…もはや狂乱劇!?
新型コロナウイルスの流行は、意外なところで大騒動を発生させた。Nintendo Switch争奪騒動である。
ここで敢えて「争奪」と表現したが、筆者としては決して大げさな表現ではないと確信している。任天堂の中国工場からの部品製造が滞り、また外出自粛要請を受けて人々が自宅待機せざるを得なくなったため、ゲーム機の需要が急増した。Nintendo Switchは品薄状態になり、やがて中古価格が小売希望価格を超えてしまった。マスク、トイレットペーパー、そしてその次がNintendo Switch。特定の製品がある日突然「高嶺の花」になる現象は、ある種の狂乱劇とも表現できる。
現在、日本在住者は緊急事態宣言の下での暮らしを余儀なくされている。学校、遊戯施設、飲食店等はことごとく閉鎖され、各企業もリモートワークへの移行を進めている。しかし一市民の視点から見れば、ひたすら家にいるしかないという苦行が待っている。だからゲームをするしかない……という人々の思考が、ゲーム機需要の急増を呼び起こした。
Nintendo Switchのメーカー小売希望価格は2万9980円(税別)。Amazonでこの製品の出品を調べてみると、箱といくつかの備品が欠けた中古が5万円近くの値段で売られている(記事執筆時・4月24日)。
良い状態とは言えない中古品にここまでの高値がつくということは、新品販売の予約枠にも人が殺到するということである。各大手家電量販店は、Nintendo Switchの予約の取り扱いを停止してしまった。次の出荷の目途が立たない中、新たに予約を受け付ける行為はリスクが高いということだ。
Nintendo Switchのポータブル版Nintendo Switch Liteも同様の状況だ。Nintendo Switch Liteのメーカー小売希望価格は1万9980円(税別)だが、メルカリやヤフオクではこの「新品未開封」が3万5000円ほどの値段で出品されている。中には「多少の傷はあるが動作に問題はない」と銘打つ中古品が3万円で売られている例も。
個人対個人のフリマアプリは、言い換えれば「サブプライム」の世界である。メーカー公認の販路よりもその信頼性は数段下のレベルにある。それが本当に「新品未開封」なのかという話になると、真相は出品者本人にしか分からない。
また、この騒動にも例によって転売業者の存在が指摘されている。法的な規制がかかったマスクとは違い、Nintendo Switchは利ザヤさえ見込めればいくらでも転売できる。これは生活必需品ではないから、国が「Nintendo Switchの転売対策」に関与することはまずないだろう。
さらに『あつまれ どうぶつの森』の大ヒットが、ゲーム機本体の需要を後押ししている。転売業者にとって、Nintendo Switchはマスクよりも安全かつ高利益の商品と言えるかもしれない。
新品より高い中古品
マスクよりも安全な「転売品」
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