【徹底比較】プリウスα vs 初代プリウス
当コラムの人気企画「ガチンコ燃費対決」(本誌アンケート調べ)。今回の対決は、中古の初代プリウス vs 先日デビューしたばかりのプリウスα! これまでのプリウスではカバーできなかったファミリー層獲得のために、満を持してトヨタが送り込んできた刺客だ。新旧プリウス対決やいかに!
ワゴンタイプのプリウスα、震災にもめげず気合の発売! たちまち納車1年待ちの大人気!
現在の3代目プリウスが発売されたときも、けっこうな納車待ちになったが、今回はもっとスゲエ。国産車で納車1年待ち以上なんて、90年にNSXが4年待ちになって以来じゃないか? ハイブリッドカーのパイオニア・プリウスは、年を経るごとに販売台数が右肩上がりの昇り竜。希少な日本の希望の星である。
で、プリウスαには、5人乗りのワゴン型と、7人乗りのミニバン型が用意されている。ワゴン型はプリウスのボディを伸ばして、ラゲッジを広くしたもの。一方ミニバン型は、バッテリーをニッケル水素からリチウムイオンに替えて小型化し、そのスペースを生かして、シートを3列(定員7名)にしてある。
ただ3列目シートは、基本的には子供用。3列目シートを畳んでラゲッジスペースにしてしまえば、スペースも走りも5人乗りとほぼ同じになる。まさに「+α」だ。
その7人乗り、リチウムイオン電池はまだ増産が利かないので、お値段を300万円以上の高級グレードに限定した。「売れすぎると困っちゃうから値段を高くした」のだ。フェラーリみたいな殿様商売でステキじゃないか。さすが希望の星。
5月下旬段階の受注台数は、5人乗りが2万8000台、7人乗りが1万1000台。生産能力は合わせて月3000台なので、ともに年内の納車は到底ムリ。デフレでモノが余りまくっている日本で、こういうニュースを聞くと、嬉しくて涙が出てくる。
では、その羨望のプリウスα、実際のフィーリングはどうなのか。
内装は少し未来っぽさが薄れ、やや所帯じみた雰囲気だが、走らせるとスバリ、プリウスの高級バージョン。乗り心地がかなりイイ。
現行プリウスは、実は乗り心地がイマイチなクルマで、特に高速道路で長距離走ると、ドシン、バタンとけっこう辛い。しかしプリウスαは、ホイールベースを伸ばしてサスペンションも高級化。「ばね上制振制御」なるハイテクも導入されて、ふんわりと上等な乗り味だ。
音も静かになった。プリウスというクルマ、のんびり走っている分にはいいが、ちょっとアクセルを踏み込むと、いかにも「騒音」なエンジン音が響いて、ビンボーを感じさせる。プリウスαはそのあたりも対策され、セレブ感を維持したままそれなりの加速を見せてくれた。高くなっただけのことはある。
⇒(後編)「ガチンコ燃費対決」につづく
【プリウスα】
2列5人乗り(235万円~)と3列7人乗り(300万円~)の2種類から選べる。3列目のシートは、まあ大人2人が何とか座れるぐらい。長距離移動はキツイかも
◆SPA! AUTO CLUB Vol.685
PRIUS α
燃料対決再び! 納車1年待ち!大人気プリウスαに初代プリウスで挑んでみました
MJブロンディ=文1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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