「恋の力で冬を乗り越えます」 ポジティブな震災ホームレス

震災により職と家を失った者、復興特需に沸く被災地で仕事を得ようと移住したが、雇い止めにあった者など。今、被災地では「震災ホームレス」なる新たな問題が浮上している。容赦なく襲いかかる東北の過酷な冬を、彼らは乗り越えられるのか。被災地で路頭に迷った者たちの現状をリポートする!

 津波でアパートを流され、気仙沼で避難所暮らしを余儀なくされた新井聡さん(仮名・32歳)。それまで港の荷揚げなど、日雇いの仕事でその日暮らしを送っていたが、港が壊滅し、仕事は一切なくなった。被災した際に持っていた財布の全財産2万円はあっという間に底をつき、炊き出しだけが唯一の楽しみという日々を送っていたと言う。

「ただ、さすがに9月になると、みんな仮設住宅に移ったり、家を借りたりして避難所の体育館に残ったのは老人と体の不自由な人、若いのは自分だけになりました」

 肩身の狭さに耐えられず避難所を出た新井さんは当初、撤去されずに残った廃車や、屋根だけが残った民家の跡地などで寝泊まりしていた。だが、9月に入ると徐々に寒さが厳しくなり、暖かい寝床を求め彷徨っていたところ、炊き出しを行っているボランティアスタッフに声をかけられたとか。

「家も仕事も身寄りもないと話すと、瓦礫撤去のボランティアに誘ってくれたんです。スタッフとして登録して作業すれば、テントと毛布1枚、キャンプ用のコンロが支給されると聞いて、『それさえあれば、どこでも暮らしていけるな』と思いました。1週間作業して、本当は返却しなければならないテント一式を失敬して、ちょっとでも暖かい所へ移動しようと、南へ向かうことにしました」

 途中、お腹が空けば、ボランティアセンターでスタッフとして働き、食事をもらう。そんな生活を続けながら現在、南三陸町まで南下。それにしても、暖かさを求めるなら、もっと南下すべきでは?

「そうなんですけど、ここはテント暮らしのボランティアが結構多くて、ごく自然と合流できたんですよね。運良く寝袋もゲットできて、かなり寒さを凌げます。あと、これ以上南下して仙台市まで行っちゃうと、ボランティアの数も多いでしょ? ここにいれば、毎晩スタッフみんなで鍋をつつく生活だから楽しい。たまに酒にもありつけるし、しばらくはここにいようかなって。ホームレスって言えばそうですけど、キャンプ生活だと思えば、結構楽しいですよ!」

 最近、新井さんはボランティアスタッフの女子大生に恋をし、そのコと一緒に瓦礫を運ぶことに生きがいを感じているとか。

「恋の力で冬を乗り越えられそう」と笑う新井さん。恋の熱だけで東北の冬を乗り越えられるかどうかは不明である。

― 激増する[震災ホームレス]は越冬できるのか?【4】 ―

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