間取り鑑賞を嗜む人は“マドリスト”の生態にせまる
―[[ゼロ円・趣味道]の極め方]―
◆間取り図 妄想代 0円
折込チラシ激減中なれど……
【波子さん(HN)・35歳・主婦】
数年前に話題となった、『間取りの手帖』(佐藤和歌子著)がきっかけか、間取り鑑賞を嗜む人は”マドリスト”とも呼ばれ趣味のひとつとして市民権を得た。
ミクシィの『間取り図大好き!』コミュニティの会員数はなんと10万7000人超。このコミュの副管理人である波子さんも、「新聞の折込にマンションの広告が入っているとテンションが上がる」という真正のマドリスト。その間取り鑑賞歴は25年と年季が入っている。
「10歳の頃、突然祖父が土地を買ったんです。それからというもの、『いつかその土地におうちが建つはず』と夢見て、どんな一戸建てになるんだろうと間取り図を眺めるようになりました。20歳になり、ようやく家が建つと、次の興味はマンションの間取りに。『結婚したらどんな間取りがいいかな~』なんて(笑)」
もともと「気づくと、ボ~と考え事をしている」タイプで、間取りの楽しみも妄想だという。
「例えば、間取りを見ながら、もし、自分がここに住んだら家具はどう配置するか? 家事動線はどうなるかを考えたり。豪邸の間取りだったら、『こんな間取り図に住むのはどんな人だろう』と想像したり。間取りを見ているとあっという間に時間が経ってしまうんですよね」
そして、そんなひとりの密やかな楽しみを変えたのが、冒頭の『間取りの手帖』だったという。
「この本を見て、『間取りは趣味』と言っていいんだ、と初めて知ったんです。また、面白い間取りを見てツッコみ合うことで、このおもしろさを他人と共有できるんだということにも気づかされました。それはちょっとした衝撃でした」
以来、ひとりで妄想するだけでなく、変わった間取りを探し出しては、ネット上でマドリストらと感想を共有し合うなど、楽しみ方が多様になったとか。
間取りはチラシやネット上で見るので、費用は0円。とはいえ、長引く不況はマドリストにも無関係ではないようで……。
「最近、新聞の折り込み広告で不動産のチラシが激減してるんです。ポスティングも入らなくなりました。賃貸情報のフリーペーパーもあるんですけど、写真重視で、間取り図が極小なのであまり楽しくないんですよ」
かくして山ほどの間取り図を見てきた波子さんだが、自身の引っ越し先となると話は別とか。
「いざ自分が住む部屋となると、楽しめる余裕がないし、冷静にチェックもできないんですよね。予算や日当たりなど現実的な問題がありますから」
― [ゼロ円・趣味道]の極め方【5】 ―
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