少食は治るのか? 医師に聞く
飽食の時代にあって、食べ過ぎで悩む人も多いが、水上さんのような悩みを持つケースもあるのだ。そこで、少食のメリットやデメリット、また解消法について産業医の武神健之氏に話を聞いた。
――まず、少食が体に悪影響を及ぼすことはあるんですか?
武神健之医師(以下、武神):カロリー不足か栄養失調でない限り、心配はいりませんね。
――カロリー不足と栄養失調ですか。
武神:カロリー不足とはエネルギー不足…ガス欠ですね。そして、栄養失調とは栄養のバランスが取れていない可能性があるということです。
そしてこれらの状態でない限り、男性だと「見た目が弱々しい」と思われる以外のデメリットはないのではないでしょうか。
――少食による利点はなにが考えられますかね?
武神:必要なカロリーと栄養バランスがとれている限りは「太らない」ということですよね。歳をとればどなたも太りやすくなるので、羨ましがられることは増えます。あとは、コスパがいい(笑)
――少食解消のために、無理やり食べる人もいると思うんですが、それは効果あるのでしょうか?
武神:一回で多く食べるのではなくて、3食きちんと食べるようにする方がいいですね。少食で朝食を食べない人は、最初は野菜ジュースを飲むだけでもいいです。そうやって3食摂るようにします。野菜ジュースに慣れたら、ヨーグルトやバナナを足していって食べる量を増やしていくということですね。あとは運動です。
――運動は、ダイエットのためにやる人もいると思うんですが。
武神:運動には太るため(ガッチリとした体形になるため)にやるものもあるんですよ。筋トレと、十分なタンパク質の摂取ですね。ちゃんと食べてなかったら、どんなに筋トレをしても筋肉はつきません。
ボディビルダーの人たちも、シーズンオフはとにかく食べて太りながら筋トレするんですよ。それから、大会前の3か月で極端な食事制限をして、筋肉が浮き出すようにしていくんです。
――胃が大きくなるとか小さくなるという話を聞きますが、それは事実なんですか?
武神:胃は、ものすごく大きく膨らむんですよ。胃カメラをやるときなんかは空気を入れていくと、印象としては2倍くらいにはなりますね。でもすぐに元通りになる。なのでそれ以上に、満腹中枢の刺激のされ方ですね。実際に胃袋の大きさを考えるより満腹中枢のコントロールを考えた方がいいですね。
――コントロールと言いますと。
武神:懐石料理のように、時間をかけて食べるものは、少量でも満腹中枢が刺激されて満たされますが、丼飯のように書き込んで早く食べると満腹中枢を刺激する前に、どんどん食べられます。満腹中枢は血糖値が上がった時に刺激されます。白米より玄米などをといったように、GIインデックスが低い方が血糖値が上がりにくく、満腹中枢の刺激は遅くなりますね。
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少食のコンプレックスがある人の中には、一気にたくさん食べて「胃を鍛える」方法を取る場合もあるようだ。しかし、武神氏曰く「
3食をきちんと摂る」という当たり前の食生活の方が、効果があるようだ。
食事はタンパク質を中心にバランスよく摂り、筋トレを行う。そして、胃のサイズではなく満腹中枢を意識した食事を気にかけることが大事だという。これで少食コンプレックスの人が、少しでも減ることを願う。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。