今どきの小学生は「自前のVisaカード」でお買い物。いったいなぜ?
キャッシュレス決済が急に浸透してしまった。「してしまった」という表現をあえて使ったのは、やはり新型コロナウイルスの影響があるからだ。現金よりカードを使ったほうが、衛生上より望ましいという発想が広く知られるようになった。そしてそれは、小学生も例外ではない。
Visaといえば、地球上の誰しもが知ってる国際クレジットカードブランド。海外で買い物をする際は必需品と言ってもいいものだ。
ここで想像していただきたい。ランドセルを背負った小学生がコンビニで買い物をするのに、がま口財布から小銭……ではなくVisaブランドのカードを出したら、大人はビックリするはずだ。そのカードは親の財布から盗んだのか? そんなことをしたらダメじゃないか! そう説教する前に、まずは三井住友カードの公式サイトを見てほしい。
『Visaプリぺ』というカードの紹介ページには、申込条件として「満6歳以上(小学生以上)の方」とある。これは決して誤植ではない。このVisaプリぺは、その名の通りプリペイドカード。最大30万円までの残高を充当でき、今話題のタッチ決済にも対応している。クレジット機能はないから、これを作るのに審査は不要。だから6歳児でも所持できる……と説明しても、「そんな馬鹿な!」と絶叫する大人がまだ存在するかもしれない。
だが、「子供だからこそVisaのプリペイドカードを持たせよう」という考え方が急速に広がっているのは揺るぎない事実だ。
親にとって、小学生の子供がカードを持つ利点は何だろうか? まずは「決済履歴が分かる」という点だ。いつどこでいくら決済したのかが、利用通知として親の手元に届く。今の子供はネットショッピングやオンラインゲームの課金に小遣いを使ったりするが、それをさせないためにあえて現金ではなくカードを持たせる……という手段もある。
さらに現金は紛失したらそれまでだが、カードなら再発行できるという点も大きい。ある程度まとまった額の金を子供に持たせる場合、カードは重宝する。その上で、キャッシュレス決済は衛生面でより良い手段ということが、コロナショックをきっかけに認知されるようになった。
これらを突き詰めると、近々親戚の子供たちに配らなければならないお盆玉、そして正月恒例のお年玉も「カードへのチャージ」がベターな選択ということになる。
この夏、お盆玉を甥っ子や姪っ子、あるいは孫に渡すとしたら、まずは彼らがどのようなキャッシュレス決済を利用しているのか聞いてみよう。
現代の小学生は上記のVisaカードの他、SuicaやPASMO等の交通系ICカードを所持している可能性がある。PayPayやLINE Pay等スマホ決済アプリの存在も忘れてはいけない。昔のようにポチ袋に紙幣を入れて渡す、という行為はそれを受け取る側から敬遠されてしまうかもしれない。
ちなみに、LINE PayはJBCと提携した『LINE Payカード』を発行している。これはスマホのLINE Payと同一の残高を使用するもの。小学生の子供が日常的にスマホを持ち歩くことに不安な親や、そもそも我が子の小学校はスマホ禁止という場合にLINE Payカードはその利便性を発揮する。
無論、この理屈は子育て中の親であればよく分かることかもしれない。せっかくもらったお年玉やお盆玉を、無駄なことに使わせたくない。スマホゲームのガチャ? そんなものは絶対ダメ! そう考える親にとって、「利用履歴を把握・管理することができる」というのは実にありがたい機能である。このように、「小学生向けのVisaカード」は決して背伸びなどではなく、親の心配事を解決する有益なツールなのだ。<文/澤田真一>ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』
中高年には驚きの光景かもしれないが、今どきの小学生のなかにはVisaのカードを使っている子もいるのだ。これを「子供のくせにけしからん!」と言ってはならない。これはこれで、合理的な判断に基づくものである。
小学生の財布からVisaカード
「何にいくら使った」を把握できる
今後、「ポチ袋の現金」は敬遠される
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