エンタメ

再放送ドラマの高視聴率で感じる「新作や新商品はこんなに必要か?」

「新商品を買え」と脅迫する経済はもう持たない?

 とはいえ、コロナ後の世界でも、これまでのように新作や新商品が毎日のように生み出されるようになるのでしょうか? また、そのような創作活動や、消費行動を、活発で生産的だとポジティブに見るべきなのでしょうか?  スウェーデンのアパレルブランド「ASKET」の共同創設者、アウグスト・バード・ブリンゲス氏は、そんな考えを持つのはおこがましいと考える一人です。
 ブログサイト「Medium」(4月12日)に発表した「We Can’t Afford to Go Back to Normal」(これまでの日常を取り戻す、というわけにはいかない)という文章で、ファッション業界がいかに不公平な労働環境によって成り立ち、浅ましく利益を得てきたかを暴露し、コロナ後にもそんなシステムが維持できると思ったら大間違いだと指摘しているのです。  ブリンゲス氏の論旨は明確で、エンタメ界の抱える問題にも通じているように思えます。 <冬物から春物に買い換えるという、一見すると消費者に何の不利益ももたらさないように思えるペテンが、そこまで必要ではない服を買わせるように仕向けるビジネスモデルになってしまった。本当のところは、メーカーが生き残るために、すでに持っている服が流行遅れだと思い込ませなければならないだけの話なのだ。>

「曲を聴きたいと思う人のための曲は、すでに十分ある」

 これを音楽でたとえるならば、年がら年中毎週のように新曲がリリースされる必要などどこにもないし、半径100メートル内にあるすべてのコンビニ、スーパー、ドラッグストアなどで、日がな音楽を流し続ける意味もない。それなのに、なぜ新譜リリースが途絶えないかといえば、レコード会社が生き残るため、という結論になってしまうわけです。  かつて、ボブ・ディラン(79歳、アメリカのシンガーソングライター。代表曲に「風に吹かれて」や「ライク・ア・ローリング・ストーン」など。2016年にノーベル文学賞受賞)も、 <曲を聴きたいと思う人のための曲は、すでに十分ある。地球上すべての老若男女にひとり100枚ずつレコードを送ったとしても、同じ曲がダブることはないと言えるくらい、十分な数の曲があるんだ。> (『インスピレーション』著:ポール・ゾロ、訳:丸山京子、アミューズブックス2001刊 p.48)と語ったことがありました。(もっとも、それ以降も曲を書き続けているのですが…)
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 いま、ストップしているエンタメ業界ですが、また動き出したところで、かつてのような繁栄がやってくるのか、そもそもそれを求めるべきなのかといった問いは、ずっとまとわりつくのだろうと思います。  思うように景気回復が進まず、“邦画はオワコン”とか“Jポップはガラパゴス”とか言っていた時代が牧歌的に思えるぐらい、厳しい淘汰に見舞われるのでしょうか?  逆に、意外とすんなり経済が上向きになって、“コロナって何だっけ?”とか言いながら、これまでのように新作エンタメに興じる日常が戻ってくるケースもなくはないでしょう。
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コロナショックは「目覚める」きっかけになるか
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