研修期間終了後すぐに辞めた新入社員に一同ア然「心配した私がバカだった…」
研修期間中にもかかわらず自己流を貫く
普段、塾講師として働いている昆かれんさん(仮名・30代)は、月に数回、新人講師の教育係も担当している。その中で出会った、自意識過剰で仕事を覚える気のない新入社員とのエピソードを話してくれた。
「彼の研修では1回目の時から違和感を覚えました。個別指導をウリにしている私の塾では、一人ひとりの勉強の進度を細かく把握しなければならないので、支持も細かくなってしまうんです」(昆さん、以下同)
指示を出している時に、新人らしからぬ態度に驚愕する。
「ベテラン講師でなければ、メモしておかないと覚えられないことがたくさんあります。それなのに、彼は何も書いていない。相槌もない。はじめは、まだ慣れていないよな、緊張しているんだなと思っていましたけど……」
しかし、「心配した私がバカだった」と振り返る昆さん。
「『メモは書けましたか?』とやんわり聞いてみたんです。すると『メモなんてするところありました?』との答え。正直、びっくりしました。全く知らない生徒に接するというのにノープラン。ともあれ、初回の研修でその態度はありえません」
まるで、「あなたの今の発言に、メモするほどの重要なことはありましたか?」と言われたような気分だったという。その直後、さすがに意地悪かなと思いつつも、昆さんは彼に対してこう続けた。
「『~は覚えていますか?』『~ちゃんにはどの範囲を教えますか?』と再確認しました。ですが、彼は何も答えられません。授業の成果や進捗状況について報告も受けましたが、“教える”作業以外にも、生徒と全くコミュニケーションがとれていませんでした」
昆さんの塾では、生徒の性格や近況の把握も大事にしているそうだ。
「初回の研修なので、生徒のパーソナルな部分にかんして、そこまで詳しく把握できないのは仕方がないことです。『部活は何やっているの?』『趣味は?』など、そんな程度の会話ができればいいな、と事前に伝えてありました。しかし、全く質問もできていなかったんです」
当時を振り返り、憤りを隠せない昆さん。
「気をつかって『緊張してうまく生徒と話せなかった?』と聞いてみると、返ってきたのは『僕が生徒だったら、授業に関係ないことは話しかけてほしくないので』という言葉。あなたにとってはそうかもしれないけど、とりあえず研修期間中はこちらのやり方を試して、慣れてから生徒に合わせてアレンジするのが普通だと思いますが……」
内心怒りを感じていたという昆さんだが、大人の対応を心がけた。その後も言葉を選びつつ指導したそうだが、彼は研修終了後、数週間後に退職届を出した。
彼は教えをいっこうに生かせず、仕事にやりがいも感じられなかったようだ。
多くの企業で“個人の価値観”を認めようという動きもある。しかし、幅広い世代が混在しているのが組織というもの。新入社員でありながら、自分の意見や考え方を上司や先輩に伝えることができるのは素晴らしいことではある。が、そもそも教えてくれる人への感謝の気持ちを忘れてしまえば、うまくいかなくて当然なのかもしれない。<取材・文/chimi86>
―[とんでも新入社員録]―
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。 1
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