更新日:2022年08月06日 02:23
仕事

日本では「異業種転職」が極めて難しいワケ。採用する側もチャレンジできない…

新卒採用や外注委託にも甚大な影響

 新卒採用でも、本来は特殊外部要因によって左右させるべきではありません。ですが実際はいつか見た風景ですが、外部要因から受ける業績悪化に連動するように動きます。自社内の余剰人員を減らすためには、対象となる従業員や労働組合と延々と面倒くさい説得をしなければならないことや、知った顔を切ることは辛いので後回しにします。なので、未来ある若者への扉を閉めることで「人員増加を回避。自然減があるから、スリム化だ!」と落ち着けてしまいます。  外注委託についてもこうした局面において大きく動きが出ます。「会社としてこれからどうなるかわからないから全ての支出を絞る。その一環として外注委託は減らして社員でまかなう」という判断をする会社は非常に多い。一見理解できる判断ではあるものの、普段からの根本的な使い方が間違っている会社も珍しくありません。  本来、業務委託で取り組むべき仕事は、専門性が高いものの常時ニーズがないような領域であったり、社員の人件費負担を費やすほどの付加価値はない領域です。専門性が高い業務の場合は社員でまかなえないので、つまり一時的にやらないということ。普段から特に取り組む必要性もそんなになかった可能性があります。  また、社員に付加価値が高い業務をいったん放置させて低い付加価値の業務を行わせることは、普段から社員がやっていたことの付加価値がそんなに高くないことである可能性があります。  さりとて切られてしまった当事者である場合、契約打ち切りを言い渡されたとしても、決して怒ってはいけません。特に専門性が高いと認識されて委託を受けていた場合は、本来やらなくてもいいかもしれないことに高いお金を払ってくれていた余裕のある会社なので、切られたとしても大人の態度を振る舞い、縁をつないでおくべきです。  もちろん能力や経験の差はあれど、もはや相性を引き寄せる運などの要素が大きく影響するような採用市場の様相が続いていくと見ています。
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある
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