さらにB氏は、春・夏ドラマとともにバディものがそろったことについて、こう分析した。 「最近は、主演がひとりだと（視聴率的に）リスクが大きいので、イケメン俳優2人をダブル主演に置くパターンは主流になりつつある。ただし、春と夏クールが重なってバディものばかりになったのは各局にとっても誤算だと思いますね。
　綾野剛さんと星野源さんが機動捜査隊を舞台に異色のバディを組む『MIU404』（TBS系、金曜午後10時～）は初回視聴率13.1％（ビデオリサーチ調べ、関東地区）と好スタートを切ったようですが、個人的にやや今後の不安を感じました。綾野さんが破天荒でつかみどころのないキャラ、星野さんが常識を重んじるマジメなキャラを演じていて非常に新鮮でしたが、舞台の設定上、事件や解決方法のパターンが限られてしまう。作品に社会問題を織り交ぜるのがうまい脚本家の野木亜紀子さんとはいえ、少し中だるみはあるのかなと……。 『未満警察 ミッドナイトランナー』（日本テレビ系、土曜午後10時～）はジャニーズの若手人気トップ2と言える中島健人さんと平野紫耀さんのさわやかな立ち振る舞いと初々しい演技は魅力的ですが、シナリオがありきたりすぎると感じました。“理論派と体育会”という図式は『MIU404』とやや似ていますが、同作はベタすぎるかと……。海外ドラマにも精通する最近の若者は退屈すると思います」 　また、物語の根幹を担う脚本家にもおススメ作品を聞いた。映画やネットドラマを手掛ける若手脚本家C氏は語る。
「脚本で注目しているのは『妖怪シェアハウス』（テレビ朝日系、土曜午後11時15分～）です。奇抜な設定のコメディと思われがちですが、脚本を手掛ける西荻弓絵さんは『ケイゾク』『SPEC』『安堂ロイド～A.I. knows LOVE？～』（いずれもTBS系）で知られるサスペンスの奇才。シュールな笑いと狂気をうまく描く彼女が妖怪をテーマにどんな物語を紡ぐか気になります」 　新型コロナウイルスの影響で慎重な撮影が続いている中、ようやく放送開始に至ったドラマたち――。俳優やスタッフたちの命懸けの思いを感じながら、できればすべてをチェックしてもらいたい。＜取材・文／木田トウセイ＞テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。