今春上京してきた大学生たちのコロナ禍「大学にも行けず、友達もできない」
「東京で暮らすことは憧れでした。渋谷と原宿、あと浅草にも行ってスカイツリーを生で見れたのが思い出ですね……」
大分県出身、東京都杉並区在住のフリーター・玉置勇翔さん(19歳・仮名)は、つい先日まで都内の中堅私大に籍を置く、ピカピカの大学1年生だった。とはいえ、大学には一度も通っていない。新型コロナウイルスの影響により、入学式すらなかったのである。
玉置さんが住んでいたワンルームアパートには、綺麗なパソコンと十数冊のテキストブックがフローリングの床に置かれているのみ。ベッドやテレビはいずれ買おうと思っていたが、外に出るタイミング……いや、勇気が出ず、買い揃えなかったという。
「初めての東京で、コロナが拡がって、怖くなって。家に帰ろうと親に相談したんですけど、帰ってくるなと言われて。本当にひとりぼっちなんだ、と。最初は大学の授業……といってもパソコンで受けるんですけど、参加していましたよ。ただ、まわりには友達もいないし、気が滅入ってきて……」(玉置さん、以下同)
7月の頭、いよいよ一睡も出来ないほど精神が不安定になり、兄のすすめで精神科を受診。すると「うつ病性障害」と診断されたという玉置さん。
心配した兄が、このままでは命に危険が及ぶ可能性があるとして玉置さんを保護。現在は南関東某県にある玉置さんの兄宅に居候し、療養中だという。
「大学に行きたいな、友達がほしいな、東京でいっぱい遊んだり働いたりしたいとずっと思っていました。しかし、何ひとつできないまま、コロナのニュースを見ているうちに東京が怖くなってきて。兄に言われて病院に行くまで自分が病気だとは思いませんでした。大学に籍があると、治療も中途半端になるかもしれないと思って退学しました。なんでこうなったのか、コロナのせいだと思いますが、どこにも気持ちをぶつけられない」
一度も大学に通えないまま辞めた
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