阿佐ヶ谷姉妹は「健全なマンソンファミリー」だ
阿佐ヶ谷姉妹は言わずと知れた
「疑似姉妹」である。しかし普段から美穂さんは、江里子さんを「お姉さん」と呼び、ご近所の人たちも、2人を姉妹として接してくれているという。江里子さんの両親、美穂さんの母の5人で旅行にも出かけ、大人数で楽しかったと親たちにも喜ばれたそうだ。将来的には両親や他の友達等で集まって暮らせて行けたらいいなと考えているらしい。
阿佐ヶ谷姉妹オフィシャルブログより
婚姻関係や血縁関係にとらわれない共同体の考えは、ヒッピーコミューンと同じだ。阿佐ヶ谷姉妹は、乱れた性やドラッグのない
「健全なマンソン・ファミリー」だ。って目を引く見出し欲しさに強引に結論づけてしまったが、結婚しない人が増え続けている現代社会では、彼女たちのような
新しい共生関係が増え、社会的な認知もされていくはずである。そういう意味では彼女たちの生き方は「現代」を映し出しているように思う。将来の共同体づくりのために彼女たちは、今倹約生活をしているのだろうか。
また阿佐ヶ谷姉妹のような真面目な人たちが、芸人を志し、お茶の間の人気者になっている現状も、今の時代らしいと思う。彼女たちは、芸の道で一旗揚げてやるという野心に満ちた、昔ながらの芸人とは真逆のタイプだ。おとなしくて、地味な人たち。しかし芸事が好きなオタクな人たち。ただ、もしかしたら
社会の一般的な価値観に違和感がある人たちかもしれない。
なんであれ50歳近い彼女たちが、夢を叶えている事は、
社会の成熟度を表しているように思う。コロナに対する政府の対応に文句ばかり言っている私であるが、阿佐ヶ谷姉妹を見ていたら、
日本の社会も捨てたもんじゃないなと思えてきた。
同じく「貴ちゃんねるず」に出演した、清原和博は「野球で稼いだお金は全部なくなりました」と言っていた。
清原の生涯年俸は51億2300万円である。副収入を合わせたら相当な額だろう。それだけの金額が露と消えてしまうなんて、なんだか寓話を聞かされたようで恐ろしい。しかし清原が何か投資話に引っかかってお金を失ったというようなことは聞いたことがない。フェラーリだとか六本木で豪遊とか、覚醒剤だとかそういうもので何十億もの金を使い切ってしまったと思うとなんだか笑ってしまう。
私も50歳を超えて人生のゴールがうっすらと見えてきたが、まだまだ必死に自分の面倒を自分で見ていかなければならない。コロナで余計に先が見えぬ不安な日々の中で、あまりに対照的な生き方、人生設計の人たちを偶然見て、なんだかいろいろ考えてしまったのだった。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター
@mo_shiina