更新日:2020年10月12日 14:00
スポーツ

「箱根駅伝2021」の無観客開催は可能なのか? 宿に対応を聞いた

期待された箱根駅伝が無観客に

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写真はイメージです

 そうした苦境の中で、集客の一端として期待された箱根駅伝だったが、無観客開催が発表されてしまう。小田急リゾーツの近藤氏は例年であれば「年末年始はリピーターのお客様で満室になります」と話し、瑞の香りの松浦支配人は、この年末年始について「なじみのお客様を優先するため、まだ予約を承っていません」と話す通り、多くの常連客がやってくるようだ。いずれも、応援だけが目的という人は多くないというが、温泉と観光と駅伝をいっぺんに楽しむ人はいるという。  ここで混乱が予想されるのが「無観客の要請」を誰がどこまで行うのかということ。あくまで「自粛を要請」といった発表であるため、関東学生陸上連盟がコース上のすべての場所に係員を配置し、厳正に観戦を禁止する動きを取るとは現実的に考えにくい。そうなると、おもてなしと自粛の板挟みになるのは観光に携わる人々だ。  観光には来て欲しいが、宿泊客が箱根駅伝に行ったとなると世間から叩かれる危険性もある。宿からの自粛呼びかけを行うのか聞くと、小田急リゾーツの近藤氏は山のホテルでは未定としながらも「自粛要請について一声かけるようします」と話し、松浦氏(瑞の香り)は「例年ですと、観戦に行かれる方を応援場所まで送迎していますが、来年は行わない予定です」と、対策はそれぞれ。  明らかに応援に行く客がいた場合どのように対応するかを向けると、松浦氏は「送迎をしない旨は説明しますが、お客様が自ら行くのは止められないと思います」と、誰も責任をとらない状態での無観客開催に、困惑した様子だった。

唯一の救いはGoToトラベル

 噴火の警戒レベル引き上げや台風被害、そしてコロナによる客足の激減などで、踏んだり蹴ったりの箱根。駅伝の無観客開催は、そんな箱根に困惑をもたらしているが、明るい兆しのある話も聞くことができた。 「GoToトラベルの効果はある程度あると思いますが、どれだけ売り上げに寄与しているかはまだわかりませんね。ただ、料金設定の高いプランに予約が入る傾向はあります。割合としては、9割ほどがGoTo利用客です」と松浦氏。  小田急リゾーツの近藤氏も、具体的な数値こそ回答できないとしながらも「Go To トラベルを利用した、若い人やご家族での新規層のご利用が増えました。Go To の東京発着の予約が解禁発表以降、更に予約が伸び始めております」と話すように、一定の効果は見えているようだ。  火山活動や台風に加え、コロナでの決定打を食らっている箱根の観光業会。そこに、誰が責任を取るともしれない箱根駅伝の無観客開催が混乱を呼ぶ。GoToで回復基調にある箱根観光に、水を差さないことを願うばかりである。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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