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憧れた東京ライフの現実…虫が飛び交うアパート暮らしに耐える日々

引っ越しなんてできるわけがない

「とはいえ、謎の虫は減るどころか増える一方。最初のうちは消臭剤や殺虫剤で対策しようとしたのですが、間に合わないので、今では自分の鼻をつまんだり、ガムテープをつるして虫をキャッチしています」  原始的な方法で対策をしているが、こんな毎日だと気の安まる時間がないだろう。どう考えても管理会社に相談、または引っ越しを検討すべきだと思う。 通帳 「一度躊躇った管理会社への相談は何度も考えています。けど、匂いはともかくよく考えるとこの虫の発生=隣人って結びつかないような気がするんですよね。『ボロいアパートなんだから仕方ない』『匂いは気にならない』なんて言われたらそれでおしまいですし……。引っ越しは論外です。今回の上京で貯金をほとんど使ってしまいました。今はアルバイトの身分なので収入も限られています。当分はこの環境で頑張るしかないのかなと思っています」

職探しは難航も、希望はある

 今の環境で耐える……と話す佐野さんだが、今後の具体的なプランなどはあるのだろうか? 「まずは正社員として働ける仕事を探したいと思います。でも、あんまり良さげな求人ってなくて、出来ればガツンと稼げる仕事がしたいですね。そして稼いで稼いで、貯金。もともと妥協して住み始めたアパートですので、最低でもオートロック付きのマンションには引っ越せるようにしたい」 「最近の楽しみはインターネットで理想の物件探しです」と語る佐野さん。コロナの影響もあり職探しは難航しているそうだが、前向きに進んでいきたいと意気込んでいた。  何かとお金がかかる東京での生活。元気のある若いうちはどうにかなるかもしれないが、年を重ねるにつれて肉体的にも精神的にも疲弊するケースは散々聞いてきた。彼の“東京ライフ”が豊かなものになることを願うばかりだ。<取材・文/吉田みく>
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