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イスラム教徒の“良き隣人”に激怒…困った隣人は彼女のほうだった

―[困った隣人]―
 日本に住む在留外国人の数は、出入国在留管理庁の統計によると2019年末時点で293万人。現在はコロナの影響でこれよりも減っていると思われるが、街を歩けば当たり前のように見かけるし、同じマンションやアパートに外国人の住人がいることも珍しくない。

隣人はフレンドリーなイスラム青年

アパート

写真はイメージです(以下同じ)

「以前住んでいたアパートにも外国の方が何人も住んでいて、私の隣の部屋にもアラブ系の若い男性3人が住んでいました。本当は単身者専用で不動産会社に報告するようなことはしませんでしたが、6畳ワンルームの狭い家でどうやって寝ているのかは気になりましたね(笑)」  懐かしそうに話すのは、工業機械メーカーに勤める畑中直人さん(仮名・42歳)。隣人はいずれも同じ国の出身で、日本語学校に通いながらアルバイトをしていたとか。  引っ越しの挨拶に行くと、相手も多少たどたどしいところはあったものの日本語が話せたため、コミュニケーションを取る分にはまったく問題なかったそうだ。 「私は北海道出身だったこともあり、夕張メロンゼリーの詰め合わせを持っていったのですが、ものすごく喜ばれちゃって。お返しにって彼らの国で売っているスナック菓子をいくつももらったりして、それから顔を合わすと挨拶だけでなくちょっと立ち話することも多かったです。彼らの中に近所のエスニック料理店でバイトしている人がいたので、友人と食べに行ったりもしていました」  そこまで深く付き合っていたわけではないが、隣人との軽い異文化交流を楽しんでいた畑中さん。しかし、困ったことがまったくなかったわけではない。

深夜や明け方に流れるコーラン

コーラン 「彼らはイスラム教徒だったんですが、かなり敬虔な人たちだったみたいで毎日決まった時間になるとお祈りをしていたんです。こっちも起きている時間であればまだいいのですが、真夜中や明け方にもCDかカセットテープかはわかりませんが、コーランを朗読する音声が流れてくるんです。目覚まし代わりにするには早すぎるし、毎日ヘンな時間起こされるのも辛かったので耳栓をして寝るようにしていました」  ただし、彼らにクレームを入れようとは考えなかったそうだ。 「自分みたいななんちゃって仏教徒と違い、彼らにとってイスラムの教えは生活の一部ですから。実は、大学時代に卒業旅行でトルコやヨルダン、エジプトなどのイスラム圏を旅行したのですが、これらの地域では毎日コーランが大音量で流れていました。しかも、隣の家のみんなはこっちが何も言わないのに『うるさくしてごめんなさい』って謝ってくるんです。そんな風にされたら『全然気にならないから!』としか言えませんよ」  だが、誰もが彼のように寛容でいられるわけではない。畑中さんの家に初めて泊まりに来た当時の彼女は深夜に流れてきたコーランに驚いて飛び起き、「こんな時間にありえない。非常識すぎる!」と怒りをあらわにしたという。
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隣人への差別発言を繰り返す恋人と別れることに
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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