“陰キャラ”“ぼっち系”といったステハゲ氏の属性に親近感を抱いていた視聴者の中には、結婚で裏切られたと感じる視聴者も少なくなさそうだが、家庭を持つステハゲ氏に後悔は一切ないと語る。 「僕は結婚して奥さんがいる今の生活にすごく満足しています。もう僕だけの人生ではないので動画で好き勝手やり続けるのは厳しいですけど、逆に全く同じような動画スタイルを続けることが必ずしも正解というわけではないと思っています。仮に意味もなくパンツ一丁で外を走り回るみたいなこと続けて、ずっと数字を維持できるかといったら、それはわからないんで」 　半年、1年という単位で人気が入れ替わる浮き沈みが激しいYouTuberの世界。奥さんは大切な癒しの存在となっているようだ。 　ちなみにニコ生配信者のオフ会で知り合ったとのことだったが、それまでお互いの名前や活動などは知らず、奥さんはステハゲ氏がYouTuberであることすら知らなかったという。 「実際、僕の動画を見ておもしろいと思ってくれる層って本当に限られた層で。だいぶ限定的なかたちでウケている自覚はあります。まあ、宗教みたいなもんですよね。今はもうそんな熱心な視聴者もだいぶ少なくなっていると思いますが。各々がその時に見たいものを見ればいいと思うし、それは僕も納得していることなので全然構わないんです」 　“カルト的人気”と形容されることが多いステハゲ氏だが、今年8月にはステハゲ氏のファンとされる人物が逮捕される脅迫事件も起こってしまった。 「残念な事件でした。自意識過剰かもしれませんけど、それも僕が今までやってきたことの報いというか。変な動画を出すと変な視聴者が集まってくるみたいなことかもしれないです。奥さんとの出会いで2年前とは僕自身の価値観や環境も、あらゆるものがガラッと変わって。僕も慎重に考えるようになっていますね。『ここまでいったらアウト』という線引きも、自分の中でやりながら蓄積されたかなと思います」 　ネット上の活動と学生生活の狭間で迷走してきたステハゲ氏。ある意味、“バカなことやって怒られる”という非常に学生らしい学生生活を送り切ったようにも見えるが、奥さんとの出会いで変われたと語れること自体、成長の証かもしれない。 「この4年半、学生の本分の勉強では何も得るものなかったですけど、本当に人生は大きく変わりました。とにかく中央大学さんには温情で卒業させてもらえて感謝してもしきれないし、もし何かお話あればいつでも全然。お仕事、待っています。大学的には『やっと厄介払いできた……』という感じだと思うんで、ほぼ100％あり得ないと思いますけど」 ＜取材・文／伊藤綾＞1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X（旧Twitter）：@tsuitachiii