仕事

世界有数の空撮カメラマン・徳永克彦が明かす仕事のスタイル

仕事の90%は事務仕事

――では、いったい何が徳永さんを唯一無二の空撮カメラマンにたらしめているのでしょう。  一言でいえば、ブリーフィング(説明)能力とコーディネート(調整)能力だと思います。他のジャンルのカメラマンとの一番の違いは、飛行機は離陸したら着陸しなければいけない、という点です。当然ですが途中で止まることなどできないし、ロスが発生したらそれだけ撮影チャンスも減ってしまう。ですから、飛ぶ前にパイロットや関係者にしっかりフライトプランを理解してもらい、空に上がったらあとは微調整くらいの感じで臨まないと、とてもじゃないですが写真は撮れません。また、対象が軍用機のことが多いため、国際情勢によって政治的な課題も発生します。私の場合、90%は事務仕事だと思っています。 ――普段どういうスケジュールで仕事をされているか教えてください。  この10年くらいは年間300日ほど海外にいるという生活で、戦闘機・航空機メーカーの依頼による撮影がメインです。今年はさすがにコロナの影響で減少しましたが、年末はオーストリアで撮影する予定です。 ――やはり新型コロナの影響は大きかったですか?  そうですね。私の場合、海外に行けないことが非常に大きいです。仮に行けたとしても、今は帰国後二週間隔離されますから、スケジュールもそれを織り込んで立てないといけません。これまでのような状態に回復するまで恐らくあと5、6年はかかると思っています。 【徳永克彦】’57年、東京都生まれ。1978年にアメリカ空軍ロッキードT-33Aに同乗して以来、世界各国の空海軍機の空撮を中心に活動を続けている。高速ジェット機による飛行は2018年に2000時間を超えた。主な活躍の場は海外航空機メーカーの公式写真撮影。これまでに日本、アメリカ、フランス、イタリア、ベルギー、オーストリア、スイス、イギリス、バーレーン、タイ、チリ、ペルーなどで40冊以上の写真集を発刊している 取材・文/中村裕一 撮影/山川修一(本誌)
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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