結局、スタジアムには入場できず、少し離れた場所にあるアーセナルのサポーターたちが集まるパブで試合を観戦した田中さん。話しかけてきた地元客に事情を説明すると同情してくれ、ビールを奢ってくれたという。 「この店では4杯飲んだんですけど、いろんな人がごちそうしてくれて結局お代を払っていないんです。50代くらいのおじさんサポーターの方は『俺たちのチームを応援するために日本から来てくれたのに悲しい思いをさせたまま帰すわけにはいかない！』って」 　なお、試合は後半アディショナルタイムにアーセナルが追いついて2対2の引き分け。勝利は逃したものの店内は勝ったかのような大騒ぎだったそうだ。 「偽チケットを掴まされて生観戦できなかったのは残念ですけど、現地のパブで地元の人と一緒に盛り上がれたのはいい思い出です。一応、現地滞在最終日に観光客向けに開催しているスタジアムツアーに参加し、試合会場にも入ることはできましたしね。ただ、本当はいつかもう一度ロンドンに行き、今度こそはスタンドから観戦したいです。コロナに関係なく今は結婚しちゃったし、チャンスがあるかわからないですけど」 　簡単に行けるような場所ではないが、いつかリベンジを果たしてもらいたいものだ。＜TEXT／トシタカマサ＞ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。