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内閣府調査「ひきこもり中年、60万人超」の衝撃。やり直しのきかない社会に

 昨今、40代以上のひきこもりが若年層よりも多いことが明らかになり、衝撃が走っている。それにより、80代の親が50代の子供を養う「8050問題」が勃発。しかも中年から突然ひきこもりになってしまう人が半数を超え、高年齢化が進んでいるひきこもりたちに今、何が起きているのか。実際にひきこもりになった50代の男性2人を取材した。
高齢化する[ひきこもり中年]

※イメージ写真

中高年ひきこもりの潜在数は100万人以上とも!

 61.3万人――’19年、内閣府が40~64歳の5000人を対象にした「生活状況に関する調査」(集計期間:’18年12月7~24日)で明らかになった、中高年ひきこもりの推計である。  かつて内閣府は、ひきこもりは青少年問題だと捉えていたため、40代以上の調査は初めて行われたのだが、15~39歳の合計54万人を上回り、ひきこもりの高年齢化を示すものとなった。また、潜在的な人数を合わせると100万~200万人は存在すると主張する専門家も少なくない。さらに中年以降にひきこもりを開始した人が57.4%と大半であり、ひきこもるようになった理由の55.3%が「退職」や「職場での人間関係」など就労に関するものであった。 高齢化する[ひきこもり中年]
高齢化する[ひきこもり中年]

内閣府「生活状況の調査」(2019)結果より編集部が作成(複数回答)

 全国組織のひきこもり家族会(当事者団体)、特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族連合会の深谷守貞氏はこう話す。 「ひきこもるきっかけやその背景はさまざまです。リストラ、パワハラ、介護離職、職場でのいじめ、派遣切りなどを通じて人間関係に傷つき追い込まれ、そこに疾病、貧困、DV、虐待などが加わり困難が多様化、複合化しています」

8050問題。SOSを出せず孤独死も

 それによって生じているのが、80代の親が50代のひきこもりの子を抱え込む「8050問題」だ。生計を親に頼らざるを得ない高齢ひきこもりは再就職や社会参画もままならず、親亡き後もどこにもSOSを出せず孤独死に追いやられるケースさえある。  理不尽な解雇に再就職の難航。頼るは家の貯蓄100万円。ひきこもりの類型は多種多様だが、8050問題では生計を親に頼らざるを得ないケースが多々見られる。
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理不尽な依願退職を迫られ、再就職も失敗
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