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地方移住した30代SE。8万円の家賃が3万円台「自宅篭りは苦にならない」

 コロナ禍で地方に移住する人が増えていると言われているが、それを裏付ける興味深いデータがある。今年1月に総務省がまとめた『住民基本台帳人口移動報告2020年(令和2年)』によると、他県への転出者の数が前年よりも多かったのは全国で唯一東京都のみ。その数は40万1805人と19年よりも約1万7938人も多かったのだ。
金子さんが住むアパート近辺

金子さんが住むアパート近辺(金子さん提供)

 システムエンジニア(SE)の金子信光さん(仮名・31歳)もそんな東京から地方へ移住したひとり。現在は北海道札幌市内のアパートで暮らしている。

コロナ前から在宅勤務で仕事への支障がなかった

「一応、会社員なんですがコロナの前からリモートワークだったんです。出社するのは、会議やクライアントとの打ち合わせがある月2~3回程度。でも、コロナ以降はすべてZoomで行うようになり、それも一時的な措置ではなく今後も続けることになったんです。それで東京に住む必要がなくなり、北海道に引っ越すことにしたんです」  従業員が30名にも満たない小さな職場だが、会社側もSEに限定して社員の地方移住を容認。すると、新人時代にお世話になった先輩SEが家族を連れて早々に実家のある地方へ移住。彼にいろいろと相談に乗ってもらい、自身も移住を決断したそうだ。 「地方移住した場合、毎月の基本給が2万5000円低くなるため、そこは考えました。納品したシステムのメンテナンスも行っており、急なトラブルなどで会社に行って対応しなければならない場合もあるからです。遠方だとその対応が不可能なので安くなるという理屈です。年収換算で30万円のマイナスはもったいない気もしましたが、家賃が3万円以上安いところに住めば減収の影響はないと判断しました」  昨年9月に引っ越し、借りたのは札幌市内の最寄り駅から徒歩数分の駅チカのアパート。築35年以上の古い建物だが、1DKの室内はリフォーム済みでそこまで古いという印象を感じないとか。

地方といっても札幌は大都市。生活面の不自由はない

家賃

写真はイメージです(以下同じ)

 なにより家賃は3万9000円と東京とは比べ物にならないほど安い。それまで住んでいた都内のワンルームマンションは、管理費込みで8万3000円。家賃の差額だけで減収分を相殺してしまったどころか、1万円以上も結果的に得してしまった。 「貯金に回せる分が増えました(笑)。札幌は全国でもマンションやアパートの空室率が高い地域なのはネットで調べて把握していました。しかも、春先の引っ越しシーズンじゃなければ探し放題だと思い、おかげでコスパのいい優良物件を見つけることができました」  一戸建てじゃないので住民が除雪する必要はなく、部屋も暖房を強めにしているので家に居る限りは冬でも寒さを感じないという。 「秋に道内を少し回った程度で、それからは北海道で感染が拡大したこともあって冬の間は自宅での半ひきこもり生活ですけどね。それでも徒歩圏内にはコンビニやスーパー、ドラッグストアも揃っているし、大きな買い物はネット通販で済ませられます。まだ車を持ってないので不便かとは思っていたのですが、札幌市内で生活する分にもなくても特に困りません。でも、せっかく移住したんだし、ドライブもしたいので今年中には買いたいとは思ってます」  北海道での生活には満足している様子だが、金子さんにとってはもともと縁もゆかりもない土地。現地に友人や知り合いはほとんどいないそうだが、さみしくないのだろうか?
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東京では手に入らない新鮮食材。すっかり料理が趣味に
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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