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大阪の“昼飲み文化”を不安視する地元の声。時短要請の効果も限定的?

昼飲みの勢いにキャバ嬢も呆れる

 大阪梅田のキャバクラに勤務する女性は現在の大阪の感染者を見て「これからも減ることはないと思う」とため息を漏らした。 「緊急事態宣言中だろうと時短をだろうとキャバクラなど夜の店が昼間から営業している以上、感染者は減らないと思います。うちの店も元々は通常の夜営業のキャバだったのに、時短が決定してからは昼キャバになりました。今では梅田のほとんどのキャバクラが昼間から営業するようになり、明るい時間がコロナ前の夜と同じ光景です。  元々、梅田は昼キャバが多くあった地域で、定年退職していたり夜勤明けのお客さんをターゲットにしていたので昼間でもお客さんが入るんですよね。キャバクラだけでなく、昼から営業するカラオケ居酒屋も盛況で、あちこちから歌声が聞こえてきます。  同じ大阪でもミナミは夜のほうが圧倒的に客が入るので、昼間から営業する店はほとんどありません。最近は梅田の昼キャバが盛況になりすぎて、ニューオープンする昼キャバクラもあるそうです。今の客入りは平日はそこそこという感じですが、わざわざ半休をとって飲みに来るお客さんもいるくらいです。特に混むのは日曜の昼間で先週なんて満席状態ですね」  さらに、4月1日から大阪でも適用された「まん延防止等重点措置」に対してはこのように指摘する。 「時短を午後8時までに要請しても大して変わらないと思います。高級クラブの多い北新地ならビジネスマンしか来ないので効果はあるのかもしれませんが、梅田ではこれ以上時短をしても意味がないと思います。吉村知事は育ちが良いし、こういう大衆キャバクラには来ないだろうから分からないのかもしれませんが……。  そんな真面目な人だからこそが支持されているのかもしれませんが、飲食店が感染源だと指摘するのであれば昼間から営業している酒類を提供する店をすべて取り締まるべきなのでは?とも思いますね」

地域の実情に沿った対処が必要

 時短営業が始まってから何度か大阪の街を取材してきたが、飲みに出る客の時間帯が早まっただけで街の様子はそこまで変わりないと感じたことが幾度とあった。特に緊急事態宣言の最中でも皆、コロナ慣れしてしまったのか昼間から飲みに出る人の姿も多く目立った。  大阪では観光地であるミナミばかりがフォーカスされがちだが、そこだけに目を向けた結果が今の状態なのだ。それぞれ地域の特徴がある中で、東京や大阪と同じように自粛要請をするのはさらなる感染者増加に拍車をかけるだけなのかもしれない。 <文/カワノアユミ>
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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