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大阪の“昼飲み文化”を不安視する地元の声。時短要請の効果も限定的?

若者で溢れる大阪の街

梅田

若者で溢れる大阪、梅田

 4月1日、大阪府では新型コロナの感染者が616人確認されて、3日連続で東京の感染者数を上回った。これを受けて政府は感染が拡大している大阪府、兵庫県、宮城県に対して改正新型コロナ特措法に基づく「まん延防止等重点措置」を適用することを正式決定した。  大阪府では3/31の新規感染599人のうち10~30代が51%、中でも感染経路不明が60%台に急増。緊急事態宣言の解除後も午後9時までの時短営業が延長されたのだが、感染者の増加を押さえ込むことはできなかったようだ。大阪梅田の会社に勤務する会社員の男性は呆れ顔でこう話す。 「ここ最近、梅田の街は明らかに学生など若者が増えています。元々、梅田はキャバクラや飲み屋が多いサラリーマンの街と知られていて、観光客の多いミナミに比べると地元の人が多く飲みに来ていたんです。  しかし、昔からある居酒屋がコロナで閉店して以来、屋台風居酒屋など、若者向けの飲食店が一気に増えたんです。そのため、緊急事態宣言の解除前でも梅田の東通り周辺では多くの若者で賑わっていました。特に2月、3月は春休みらしき学生で溢れていて、卒業旅行を自粛するよう内定先から言われたので友達と集まって飲む以外、やることがないといった様子でしたね」  男性は以前から梅田周辺の居酒屋に通っていたというが、ここ1年ですっかり「若者の街」となってしまったため「行きづらくなった」と溜め息混じりに話してくれた。

昼から酒を飲む文化

 時短継続という状況は東京も大阪も同じだと思うのだが、こと大阪においては「あまり意味がないんじゃないか……」と指摘するのは、大阪の飲食店業界に勤務する男性だ。彼によると「大阪の昼飲み文化が影響しているとのでは」という。 「大阪では元々昼飲みの文化が根づいているため時短になっても『夜、営業できないなら昼から酒を出せばええやん』という考えを持ってる店が多いんです。特に新世界や京橋では昼どころか朝から営業している立ち飲み屋もありますね。そのため、大阪人は昼間から酒を飲むことに抵抗がないんですよね。  17~24時の営業だったお店が、12~21時に営業時間を変えただけというように、営業時間が大して変わらない居酒屋も多くあるんです。私の周りでも『時短なら昼から飲めばいい』という考えの人がすごく多くて、昼飲みに誘われる機会も増えました。東京なら昼間から営業しても客が来ないと思うでしょうけれど、大阪なら昼間でも客は飲みに来る。コロナ禍で業態を昼居酒屋に変えた……という飲食店も多くありますね」  筆者も関西に住んでから昼飲みや朝飲みにも何度か行ったことがあるが、京橋や新世界では朝8~9時から営業を開始して周辺の飲食店が開く午後9時頃に閉店するという飲み屋は多い。元々は阪神工業地帯の工場に勤務する夜勤明けの会社員や長距離を走る深夜トラックのドライバーのためにあったのだが、今回の時短中で居酒屋難民になったサラリーマンや若者の間で「昼から酒が飲める」と浸透してしまったようだ。
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キャバ嬢も呆れる昼飲み
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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