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“コロナうつ”はなぜ起きる? 定期的に点検しておきたい居場所とは

「誰かを頼ることを恐れないでほしい」

 最後に、岡氏はこう付け加えた。 「裏切られた経験がたくさんあったり、つながってもいいことがなかったりすると、『拠りどころ』を持つことが難しくなっていることもあると思います。ただ、人間は必ず人間を介在させて生きていて、本当の意味では1人で生きていくことはできません。  以前、診察に訪れた親御さんに『1人の母親の前に1人の人間として生きないと』と助言したところ、ハッとした顔をして『前に真逆のことを言われました』と静かに涙を流されました。誰もが1人の人間として、医療や福祉、地域にさまざまなつながりを持てることを知ってもらった上で、『誰かを頼ることを恐れないでほしい』と伝えたいです」  もし苦しさを感じたとき、SOSを出せる人や社会資源を、いま思い浮かべられるだろうか。コロナ禍が長期化し、不安の募る日々が続く今こそ、孤独・孤立とメンタルケアにまなざしを向けてみることを勧めたい。 【岡琢哉】 1987年生まれ。岐阜大学医学部卒業。精神科専門医・指導医。都内のクリニックで臨床を行う傍ら起業し、精神科訪問看護ステーションの運営に携わっている。自閉症スペクトラム、ADHDを含む発達障害/子どもと大人の不安障害/精神療法を専門としている。 <文/遠藤光太 @kotart90
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