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2か月で辞めた新入社員。「入社3日目」で気持ちは固まっていた

入社2か月で退職

残業 この時点でブラック臭がプンプン漂い、石田さんもこの会社のヤバさに気づいていたがさすがに転職して一週間で辞めることは躊躇したという。一応、3か月働いてみて、そのうえでどうするか考えようと思ったそうだ。 「社長の行動を観察してみると、仕事ぶりではなく好き嫌いによって各社員に対する態度を変えていました。経営者としては最悪ですけど、もし自分が社長に気に入られたら居心地は案外悪くないんじゃないかなと思ったんです。かといっておべっかを使うのを苦手なので特にゴマすりなどもせず、常識的な範囲で社長に接していましたがどうやら社長好みの社員ではなかったようです(笑)」  先輩たちは「新人にしては契約を取ってきているほうだよ」と言ってくれたそうだが、社長からは相変わらず営業成績が悪いという説教ばかり。これではもうダメだと思い、1か月半が過ぎたころに辞意を伝え、2か月目が終わった時点で正式に退社した。

先輩社員からも「早く辞めたほうがいい」と言われた

「『こんな会社、早く辞めたほうがいい』って先輩からも言われ、自分もその通りだと思いました。当初の予定よりも早く決める形になってしまいましたが、毎日怒鳴られていたからこのままだと心を病んでしまいそうな気がして……。辞表を提出した後も社長は、『せっかく雇ってやったのに最近の若いヤツは根性がないな』って私に聞こえる声で独り言をつぶやくような人間でしたからね」  会社を辞めるようにと勧めてきた先輩とは今も連絡を取り合っているとのことだが、彼も後を追うように退職。その後、会社はコロナの影響で業績が悪化したのか2020年に倒産してしまった。 「私は次の会社が決まるまで2か月近くかかり、やっぱり入社してすぐ辞めたのがネックになっていたのかもしれません。けど、現在勤めているプラスチック部品の製造メーカーはそれを承知のうえで採用してくれました。前の会社みたいなブラック職場ではないし、コロナ禍でも逆に業績を伸ばしているほど。あのとき辞めてつくづくよかったと思います」  入社して短期間で辞めるのは気が引けるが、明らかに労働環境に問題のある職場なら話は別。我慢しないで彼のようにサッサと辞めてしまったほうがいいのかもしれない。 <取材・文/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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