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コロナ在宅で家の中は地獄絵図。ストレス爆増でもう逃げ出したい/コロナ禍の日本

コロナが蝕む心。円満な家庭にも陰が

 今回の騒動を受け“心の保健所”も対応に追われている。全国心理業連合会(以下、全心連)代表の浮世満理子氏は、厚生労働省(以下、厚労省)のオンラインでのカウンセリングを実施。3月18日から31日までの間に、全心連に寄せられた相談は600件を超えた。 「緊急事態時には心の病や家庭内のトラブルが増える傾向にあるのですが、今回はさまざまな要因が絡み合い、かなり深刻な状況です。狭い住宅に家族とずっといなければならないという環境的要因、感染の不安からくる心理的要因、さらに休業に追い込まれ、収入が不安定だという経済的要因。この3つの要因が精神疾患の悪化や家庭内のトラブルを引き起こしていると考えられます」
浮世満理子氏

浮世満理子氏

 不安や精神疾患の悪化から、子供に対して暴力的に接してしまう親も少なくない。 「精神疾患を患っていた母親が、外に遊びに行った子供に対して頭から消毒液をかけるなど、暴力的な対処を行う例も見られます。行きすぎた不安やストレスから、DVにまで発展する可能性は十分あるのではないでしょうか」

家庭内のトラブルは家だけの問題ではない

 同じく厚労省委託のコロナ相談にもかかわる香山リカ氏は、今まで問題を抱えていなかった一般家庭に対しても警鐘を鳴らす。 「現在はもともと心療内科に通院していた人が来院することが多いですが、今後は一般家庭でもトラブルが発生することが予測されます。今まで仕事や学校で見えなかった家族の一面や、怠惰な生活態度などがすべて見えてしまうことによって、家族仲は悪化するでしょう」
香山リカ氏

香山リカ氏

 10代のための相談窓口「Mex(ミークス)」を運営する認定NPO法人3keys代表・森山誉恵氏は「家庭内だけでなく、社会の仕組みそのものを変えなければ問題の解決には繋がらない」との見解を示す。 「児童虐待を含め、家庭のトラブルは親の負担やストレスが根本的な原因となっています。今回も休業要請で収入が不安定になることや、在宅勤務や休校で子育ての負担が増大したことが、虐待やDVなどの引き金となると考えられます。助成金の支給や、親をサポートする機関の設置など、社会レベルでのケアを行わなければ、根本的な問題解決にはならないのでは」
森山誉恵氏

森山誉恵氏

 Mexではオンライン相談態勢の整備、相談窓口の認知拡大などに努めている。多くの人の心を蝕む「コロナ在宅」。コロナ騒動が終息するより先に、心が崩壊してしまわないことを願うばかりだ。
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相次ぐ休校措置で混乱する教育現場
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