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コロナ移住失敗組の憂鬱。リモートワーク縮小で「引っ越さなければよかった……」との声も

結局、移住者は短い祭りに踊らされただけだった!?

 移住に失敗した人たちの悲痛な声には同情を禁じえないが、不動産ジャーナリストの榊淳司氏は、移住の現実についてこう語る。 「週2~3回でも都心に出勤する必要があるなら、通勤時間を考えると国道16号線くらいまでが現実的に移住できる限界でしょう。郊外では、駅から距離がある築30年ほどの戸建てであれば1000万円程度から手に入るので、住宅コストは確かに下がる。  ただ、自然環境に憧れて移住しても、都心とそれほど変わらない。また川越、野田、相模原など場所によってはコミュニティが閉鎖的だったりするので新参者には馴染みにくい可能性がある」  さらに榊氏は、外国資本の気になる動きがあるという。 「外資系ファンドは、日本企業のリモートワーク化がこれ以上進まず、コロナ後に需要が戻ってくると見ており、いま都心のオフィス物件を買い漁っているそうです」  結局、移住者は短い祭りに踊らされただけだった!?

遠く離れた地方都市に移住した人々も「後悔」

 コロナ禍を機にさらに遠方へと居を移す者もいる。しかし、距離とともにハードルも一層高くなるようだ。1月に都内から四国の郷里に∪ターン移住した自営業の男性(46)は言う。 「移住後も飛行機で月に2、3回は上京する必要があるのですが、近所に住む母親から『東京に行ったことがバレたらご近所さまに顔向けできない』と言われていて、非常にやりにくい。キャリーケースを持って家に出入りするのは、早朝や深夜のみに限るなど、隠密行動を余儀なくされています。親戚の間でも目の上のタンコブ扱いされていて……。すでに帰郷を後悔してますよ」  一方、昨年6月に都内から九州にIターン移住したウェブデザイナーの女性(39歳)にも、こんな苦労が。 「移住したての頃は、感染者数も落ち着いていたので、私のようなヨソ者にもウェルカムな雰囲気でした。それが一変したのが今年、第4波に入ってから。『県外者お断り』の張り紙がしてある飲食店も増えて、一度、そうした飲食店で注文の時に関東弁が出てしまい店員に『どこから来たと?』と詰問されたことがありました。  住民票も移した在住者だと説明したら事なきを得ましたが、その時のほかのお客さんの視線が怖くて。それ以降、人前で話すことが恐ろしくなってしまった。観光で訪れて気に入った街なのに、嫌いになってしまいそうです」  コロナ禍が過ぎ去り、一刻も早く移住者が枕を高くして眠れる日が来ればよいが。 <取材・文/SPA!コロナ問題取材班>
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