ライフ

有名ラーメン店のロゴ。その制作秘話をラーメンイラストレーターに聞いた

ラーメンとの出会い、仕事としてのラーメン

ラーメン凪

ラーメン凪のロゴ

 イラストレーターへの道を歩み始めたきっかけがあるように、ラーメンが好きになったきっかけもあると思います。運命の一杯について教えてください。 「僕が子供のころは、今でいう町中華とかそば屋さんがラーメンを出してたって感じでした。中学生の時にそういう店の出前で食べた、味噌ラーメンの大きさや麺の太さや、味噌とピリ辛の味付けに、ハマってしまったんですよ」  ラーメン好きから、ラーメンを仕事にするようになったきっかけはどんなものだったんでしょうか。 「2005年に、ラーメン凪の創業者である生田智志さんと知り合ったんですよ。そこで、自分が描いたラーメンのイラストを生田さんに見せたら『これ、おもろいね!』って。そのときはまだ、凪が新宿のゴールデン街で週に一度だけ店を出している頃で。それに行くようになって、仲良くなっていたんです。そこから、生田さんが実際に店を出すことになった時に、ロゴを作ったんですよ。その頃はまだ、ラーメン屋さんの仕事をするとは思ってなかったので、プレゼントしました。そしたら、凪が店舗を広げるときにも、いろいろと発注していただけるようになったんです。これが『ラーメンの仕事』のきっかけでしょうね」  凪の歴史は青木さんのデザインとともにあるといっても過言ではないですね。 「そうですね。それまでは、出版や広告関係を中心に、教科書のイラストとかも描いてましたので、生田さんとの出会いがなかったら人生違ってたでしょうね」

ラーメンデザインへのこだわり

 凪のロゴはどんなイメージで作られたんでしょうか。 「『凪』という文字を、円形のロゴからはみ出させてるんですが、これはラーメンの常識からはみ出していって欲しいという思いでつくったんです。凪の生田さんは一風堂の創業者である河原さんを目標にしていました。一風堂は、汚い臭いってイメージだったラーメン屋のイメージを一新した店だったんですが、その新しさの中で足りない『歴史』を補うように、木の看板に筆文字のロゴになってるんですね。そんな一風堂の河原さんに憧れている生田さんには、さらに新しいことに挑戦してもらえるよう、古さを感じないようなデザインにしたんです」  では、ミシュランで星を獲得した蔦のデザインはどんなイメージで描いたんでしょうか。
蔦

ラーメン蔦のロゴ

「『蔦』という文字は、パソコンなどのフォントにすると、ちょっと横に太い文字なんですよ。なんだか重たいんですね。でも、蔦のラーメンはキレがいいので、そのキレを表現したいと思って細く書いたんです。よく見かける蔦という文字の印象を変えてしまうので、ひらがなで『つた』という文字も入れて『このひらがなは絶対ハズさないでください』ってお願いしました。普通、デザインの候補をいくつか持って行くと何時間か悩んだり、なんなら数日考える店主さんもいるんですが、蔦はほんの数秒で『これです!』って決まりましたね」
次のページ
コンビニでみかける「くじら食堂」のロゴも
1
2
3
4
おすすめ記事