仕事

「バラバラなチーム」でも時には武器に。「モチベーションファクター」がその鍵

異なるモチベーションファクターへの対応

 しかし、日本のビジネスパーソンは6つのモチベーションファクターに分かれている。ということは、顧客のモチベーションファクターはさまざまなので、組織メンバーが特定のモチベーションファクターに集中していると、チーム内はまとまりやすいが、顧客の多様なモチベーションファクターに対応しにくいと言える。  逆に、組織メンバーのモチベーションファクターが分散していると、チーム内をまとめる難易度は上がるが、多様な顧客に対応しやすいと言える。顧客対応を優先するという考え方に立つならば、組織メンバーのモチベーションファクターは分散させて、なおかつ、組織メンバーをまとめるスキルを発揮すればよいということになる。  多様なモチベーションファクターのメンバーをまとめていくために、とても簡単で有効な方法がある。自分とは異なる相手のモチベーションファクターの内容とフレーズを組み込んで話をするということだ。  例えば、目標達成の人が安定保障の人に話をする時に、「リスクを度外しして早速チャレンジしよう」と言うだけでは、安定保障の人を巻き込めない。しかし、安定保障の内容やフレーズを組み込んで、「リスクを洗い出し、リスク度合が少ない取り組みから、早速チャレンジしよう」と言えば、安定保障の人のモチベーションも上がり、取り組みが加速できる。 「多様性を尊重しよう」「多様なメンバーを巻き込もう」ということは、よく言われることだ。しかし、漠然とした掛け声だけでは、多様性への対応はなかなか進まない。自分のモチベーションファクターを見極める、相手のモチベーションファクターを見極める、相手のモチベーションファクターの内容やフレーズを組み込んで話をするということができさえすれば、組織メンバーのモチベーションファクターはあえて分散させて、多様な顧客に対応できる組織作りをしていくとよい。 <文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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