【局地的有名人】渋谷の「ありがとう星人」を直撃
街を歩いていると、ひと際異彩を放つ人物と出くわすことがある。そう、界隈ではちょっと知られた“名物おじさん”である。ただ、有名とはいえ、その強烈なインパクトゆえ存在(見た目)ばかりが独り歩きし、正体は知られていない。そこで今回、取材班が捜索&直撃してみた。
【ありがとう星人】
「地球」を「ありがとう星」と勝手に改名したカエル男
ある日曜の昼過ぎ、渋谷を歩いていると、「地球を“ありがとう星”と呼びましょう」と駅近くで声をあげる謎の老人に出会った。恐る恐る話しかけてみると、「私は“ありがとう星を広める会”の者です」と、陽気に対応してくれた。少々リアルなカエルの被りものがユニークすぎる早川廣助さん(64歳)は独身で年金暮らし。月に1~2回、茨城県鹿嶋市から電車で2時間以上かけて渋谷に遠征しているという。ありがとう星とは、一体何なのか。
「『ありがとう』は、素晴らしい力を秘めた人間の大切な気持ち。未来が感謝で満ち溢れてほしいという願いを込めて、地球を“ありがとう星”と命名しました。私たちは常にいろいろな命を吸収して生きています。例えば、体内の微生物や腸の細菌、小さなプランクトンのおかげで成り立っている。独り善がりにならず、『すべてに感謝の気持ちを持とう』と。“地球”という名称も、自然とそう呼ばれるようになっただけでしょ? いつか皆が“ありがとう星”と呼ぶようになったら嬉しいです。ちなみに宗教や勧誘ではないからね」
早川さんは定年まで、都内のペットショップに勤めていたようだ。
「たくさんの命に囲まれていたこともきっかけになった」と続ける。「20代から『この星に人間が存在する意義はあるのか』と考えていて、50歳のとき、突然『ありがとう』の言葉が舞い降りた。すべての答えをくれたんです。今は、同志の“ありがとう星人”を募集中です」
活動歴は5年ほど。現在は何人の“星人”がいるのだろうか。
「会員は11人。過半数は犬や猫ですが。それぞれ写真付きの“星住生証”を発行しています」
残りは友人・知人らで構成されているらしい。
最後にどうしても気になっていた質問をぶつけてみた。……なぜ“カエル”なのか?
「好きなの、カエルが。しかもこれ、近所の海岸で拾った“浮き”で作った手作り。カエルは陸と海の両生類でしょ。地球を代表する生き物なんだ」
取材後、「声をかけてくれてありがとう」と、ありがとう星人。楽しい時間を「ありがとう!」。
― 超局地的[街の名物人間]直撃リポート【1】 ―
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