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親が住まなくなった実家、売るのか貸すのか迷ったらどうする?

「とりあえず近くの不動産屋」はリスクが高い

田舎

※写真はイメージです

 実際には「とりあえず近くの不動産屋」と考える人がほとんどかもしれない。だが、そんな「とりあえず」で決めてしまうのはリスクが高いと渡邉氏は指摘する。 「不動産屋によっては、こちらの意向をろくに聞かず、一方的に売る方向に持っていかれてしまうこともあります。そのほうが、不動産屋としては都合がいいからです。  こちらの状況に合わせたメリットとデメリットを説明してもらえるのかどうか。不動産屋によって得意・不得意もあるので、複数社に依頼して、それぞれの動きを見てから判断するようにしましょう」  都心部在住で実家が地方にある場合、どちらのエリアにある不動産屋を選ぶべきなのか。 「物件の近くにある不動産屋を選ぶ方がいいですね。理由としては、早急な対応ができず、動きが遅くなってしまう。加えて、都道府県により売買の法令が違うこともあるので、その土地の状況を把握している不動産屋に任せるほうが安心です。  また、担当者とこまめなやりとりができるかどうかも大事です。たとえ離れていたとしても、メールや電話で細かく報告してくれる担当者であれば全く問題がありません。当然、売買契約時には不動産屋までわざわざ出向く必要があるわけですが、その手間があっても物件の近くの不動産会社の方が預けている意味があるといえますね」

信頼できる不動産屋の選び方

 とはいえ、信頼できる不動産屋選びは簡単ではない。地方の場合、エリアによっては不動産屋が1社しかないこともあるだろう。 「AI査定などのオンラインサービスを利用して、実家がどのくらいの価値なのか確認してみましょう。その後、いくつかの不動産屋に相談してみる。あらかじめ、おおよその価値を知っておくことで、その不動産屋が信頼できるかどうか、見極めるための軸になります。  もちろん、AI査定が絶対に正しいわけではありませんが、たとえ不動産屋側の査定と価格に相違があったとしても、その根拠を丁寧に説明してくれる不動産屋であれば信頼できるといえます」  実家の売却価格がそこまで高くない場合、数社に依頼することで不動産屋に嫌がられることもあるというが、それでも渡邉氏は「最初は数社の不動産屋を比較したほうがいい」と話す。 「たとえば、『いつか専任媒介契約にしたいのですが、まだわからないのでいったん2つの不動産屋でお願いしたいと思っているんです』と投げかけ、『販売の過程で判断して1社にお任せしたいと思います』と気持ちよく不動産屋に動いてもらうこともできると思います」  一概に「こういう不動産屋はいい不動産屋」という判断基準があるわけではないため、複数の担当者とやりとりを進める中で、自分が信頼できると感じる不動産屋を見つけることが、実家問題解決への第一歩となるだろう。 コラビット社内【渡邉雄也】 大手不動産会社で営業マンとして6年ほど従事。不動産会社にとって都合の悪い情報を隠し、売上のために顧客に嘘をつき損をさせてしまう業界に嫌気がさし、「顧客のために仕事ができる」とコラビットに入社。現在は、各不動産会社と売主を橋渡し、サポートする役割を担う。宅地建物取引士・AFPファイナンシャルプランナー・一級建築施工管理技士。 【株式会社コラビット】 ITの力で不動産会社の悪しき慣習を取っ払おうと生まれたのが、コラビットが運営する「HowMa(ハウマ)」。不動産業界では良しとされない、複数社による売却活動を行うITの力を活用した「HowMaオンライン売却」などの不動産事業を行っている。 <取材・文・撮影/松本果歩>
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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