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親が住まなくなった実家、売るのか貸すのか迷ったらどうする?

 大人になれば、一般的に「実家」を出ることになる。大学進学や就職をきっかけに、地方から都心部へ移り住んだという人も多いかもしれない。そこで出会ったパートナーと結婚、出産、家族と暮らす夢のマイホーム。気づけば時は経ち、いつしか親は高齢者に……。  そして直面するのが親の死後、残された実家をどうするのか、ということである。
渡邉雄也

株式会社コラビットの渡邉雄也氏

「親が生きている間に売却をせず、亡くなった後に相続をして、さてこの家をどうしよう……と頭を抱えるパターンが、実はかなり多いんです」  こう話すのは、大手不動産仲介会社で営業マンを務めていた経験を持ち、現在は株式会社コラビットに勤務する渡邉雄也氏だ。

地方に残された「誰も住まない実家」をどうするべきか

 親の死後に実家を相続したものの、自分は住めるわけではない……都心部在住で実家が地方ならば、多くの人が向き合わなければいけない問題。  コロナ禍でテレワークが推進され、地方にいても仕事ができる環境になりつつもあるが、渡邉氏は「そもそも、実家を自分が使いたいのかどうかを考えるべき」と言う。 「実際に都内に住んでいる方が田舎に帰ってまで実家に住むという話はほとんど聞きません。軽井沢などに立派な戸建てがある……といった場合であればテレワーク先として保有し続けるという選択もありますが、事例としては稀です」(渡邉氏、以下同)  そのうえで、渡邉氏は3つの選択肢を挙げる。それぞれのメリット&デメリットはこうだ。 ①自分が保有し続ける  自分の育った実家には思い入れがあるから手放したくない、という場合には保有し続けることによる満足感を得られる。しかし、空き家のままで保有し続ければ固定資産税がかさんでしまうだけ。  さらに、定期的な手入れができる場合をのぞき、近所から「空き家のままは物騒だ」などとクレームが入ることも。責任をもって所有できるのか考える必要がある。 ②賃貸として貸し出す  入居者が見つかれば定額収入が得られるが、借り手が見つからない、家賃の支払いが滞る、天災の影響や事故物件化することにより家賃が下がるなどのリスクも。  借り手を見つけるためにリフォームをすればその分お金がかかるなど、オーナーとして家の状態を保持する費用が発生する。 ③売却する  手元に資金が入ること、完全に手放すことにより気持ちが楽になる。これまで渡邉氏は「売らなければよかった」という人は見たことがないそうだ。  結論、最もデメリットが少ないのは「③売却する」ことのように思える。だが、必ずしも「だから売るのがベスト」とは言い切れないという。 「本当にケースバイケースなので、まずは自分がどうしたいのか。そのうえで、家の状況とエリアから最終的に判断します。たとえば戸建ての場合、築40~50年以上たっていれば、取り壊して土地のみにした方が売れる場合もあります。  都心ならば、家は高く売れるので売却してしまったほうが手っ取り早い。一方、地方では賃貸として貸し出したほうが、長い目で見れば得するかもしれません」

空き家状態に近かった場合は要注意

渡邉雄也 渡邉氏によれば、特に注意が必要なケースがあるという。親が亡くなる直前まで老人ホームなどに住んでいて、「ほとんど空き家状態に近かった場合」だ。 「売却と賃貸どちらにせよ、他人が住むにあたって不備がないか。具体的には、シロアリの発生や木の腐食が起きていないか、給湯器は使えるかなどの点検が必要ですね。  これらの確認は『インスペクション(建物状況調査)』と呼ばれ、自力ですべてやるのは大変です。不動産会社や建築会社などのプロに依頼するのがいいでしょう。最近では不動産会社が売却時のサービスの一環として、費用を持ってくれる場合もあります」  前述した3つの選択肢もケースバイケースということならば、不動産屋から適切なアドバイスをもらいたいものだ。しかし、どこの不動産屋を選べばいいのだろうか。
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「とりあえず近くの不動産屋」はリスクが高い
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