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孤独は万病のもと?身体の慢性痛と同じメカニズムで心身に悪影響

今年2月、内閣官房に孤独・孤立対策室が設置されるなど、今や大きな社会問題となった日本人の「孤独問題」。浮き彫りになった“望まない孤独”の正体と、「孤独」が人体に及ぼす深刻なリスクに迫った!

心筋梗塞、糖尿病、うつ病……死に至る孤独はもはや病気!?

孤独 人は孤独に耐えられない――。それは精神的にではなく、肉体的にである。「孤独はさまざまな病気を誘発します」と話すのは、保健学博士の村山洋史氏だ。いったいどういうことか? 「人は『孤独』のような社会的拒絶を感じたとき、身体的な痛みを感じたときと同じ領域(背側前帯状皮質)が活性化されます。  つまり、孤独は身体的な慢性痛と同じメカニズムで心身に悪影響を及ぼすのです。孤独によるストレスは副腎からストレスホルモンを生み出し、血管を締め上げます。その結果、血管系疾患である心筋梗塞や狭心症のリスクを上昇させます。  さらに血管にダメージが与えられることで代謝も悪くなり、肥満や糖尿病などの生活習慣病リスクも高まっていく。  また、精神系疾患のうつ病や認知症を発症しやすくなることも判明していますね。心身へのダメージが強くなると体の免疫力も弱まり、呼吸系疾患や感染症のリスクも高まるでしょう」

男性は50~60歳にかけて孤独感が強まっていく

孤独 孤独の影響が社会の高齢化とかけ合わさったとき、その健康被害は計り知れない。 「高齢化が進んでいる日本では老老世帯が増えています。高齢で孤独になってしまった結果、周囲からのサポートが得られず、それによって健康的な生活を送るのが難しくなってしまう。孤独が体に直接的に作用することに加えて、孤独が間接的に影響するということも危惧しなくてはなりません」  ドイツの論文によれば、孤独による体への影響は年齢によって変化し、男性は50~60歳にかけて孤独感が強まっていくとか。 「中間管理職という立場のストレスや家庭内でのストレス、さらに退職が近くなるという社会的孤独からのストレスもある。それらが一気に体にダメージを及ぼすことも考えられます」  万病のもとともいえる孤独を克服しなければ長生きの道はない。 【保健学博士・村山洋史氏】 東京都健康長寿医療センター研究所研究副部長。著書に『「つながりと健康格差」-なぜ夫と別れても妻は変わらず健康なのか』(ポプラ社)
孤独

村山洋史氏

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 恵原祐二
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