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沖縄の離島、観光客を「黙って見守るしかない」島民たちの不安の声

通りを歩くのは観光客やリゾートバイトの若者

ダイビング

沖縄県には、旅行を楽しみながら住み込みでアルバイトをする「リゾートバイト」の若者も少なくない

 観光客が増え続けるだけでなく、全国から夏休みを利用した「リゾートバイト」の若者たちが集まり始めたのは、梅雨が明けた頃からだった。  島内の民宿経営・佐々木加世子さん(仮名)が、呆れたような口調で吐き捨てる。 「昼も夜も、通りを歩いているのは島外からきた観光客やアルバイトの若者ばっかり。居酒屋もレストランもスーパーも海もです。島内の病院にある、わずかなコロナ病床は島外の観光客に使用され、島民の体調が悪くなっても、すぐには病院にいけない。年寄りだって多い島です。まるで乗っ取られているような気分」(佐々木さん)  佐々木さんによれば、夏のリゾートシーズンに合わせて、島を出て旅行にいく島民も少なくなかった。だが、狭い島にウイルスを持ち込むような事態は避けたいと、ほとんどの人が自粛し、自宅に留まっている。

何事もなくお金を落としてくれるのを黙って見守るしかない

 そんなところにやってくるのが観光客で、島民は固唾をのんで、彼らの行動を見守っているというのだ。 「島外の人が来ないと経済は回りません、これは事実です。でも、観光客のせいで病院も行けないし、恐ろしくてスーパーに買い物にもいけない。どこにだって観光客はいますから。    ただ、そういう人を拒否すべき、と声をあげる人は少ないですね。一度ソッポを向かれたら、コロナ禍が終わっても人が来なくなっちゃいますからね。黙って我慢して、お金を落としていってくれることを祈るだけ」  沖縄県のリゾートシーズンも、残りわずか。この間に、さらに観光客が増えるのか。島民たちは、最悪の事態に怯えながら「複雑な思い」を抱き続けるしかない。 <取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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