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スシローが業績絶好調。テイクアウトだけじゃない4つの理由

郊外のロードサイド型は軒並み好調

 実はまぐろ類の価格は新型コロナウイルスの感染拡大で急降下しました。水産庁の「まぐろ類(全体)の年平均価格の推移」によると、2019年は1kg当たり1522円でしたが、2020年は1322円まで13.2%下落。その理由は、宴会や会食が消失して刺し身用の魚の需要が急減したためです。
スシロー まぐろ

まぐろ類の年平均価格の推移(筆者作成)

 繁華街などに出店する飲食店が大苦戦する中で、有利になったお店があります。郊外のロードサイド型の飲食店です。仕事仲間と食事をする機会が失われた代わりに、家族での外食需要が旺盛になりました。スシローの大得意な分野です。ちなみに、同じくロードサイド型の焼肉きんぐやコメダ珈琲も業績は好調です。  スシローは2021年9月期上期の既存店の客数が前年比92.3%でした。上期は新型コロナウイルスの影響が色濃く出る前の客数との比較です。極めて堅調な数字だと言えます。ロードサイド型の出店形態で客数を落とすことなく、魚の仕入価格が大幅に下がったことにより、利益を出すことができました。

補助金の存在も大きかった

 利益を押し上げたもうひとつの要因が政府、自治体からの協力金や助成金です。スシローは2021年9月期第3四半期に政府補助金収入として、44億9000万円を計上しています。  これは営業外収益になるので、営業利益に入るのはおかしいと思うかもしれません。スシローはIFRSという国際会計基準を採用しています。日本の会計基準の場合は営業外収益が営業利益の後に加算され、経常利益に影響を与えます。しかし、IFRSは営業利益の中に含まれるのです。  会計処理の違いによるプラス効果も強く働きました。仮にこの金額を2021年9月期の営業利益予想から差し引くと、営業利益率は6.8%になります。コロナ前の2019年9月期を下回る水準です。コロナがなければ、8%を超える営業利益率にはならなかったものと予想できます。
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業績不振の京樽は将来的に重しとなる?
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