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血糖が体内に蓄積されるって本当? 知らぬ間に体を蝕む“血糖負債”の恐怖

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

コロナ禍で増える肥満。健診でチェックしたいHbA1cとは?

メタボ コロナ禍でリモートワークが常態化した昨今、「気づけば一日中自宅にこもりっぱなしだった」という人は多いだろう。運動不足を自認しているならば、健康チェックは重要となってくるが、日本生活習慣病予防協会が3月に行った調査では、4人に1人は「コロナ太り」を気にしている一方、約半数は健診を受診していないと答えている。 「たかが肥満」とあなどってはいけない。肥満の要因として大きい、高血糖が続くと糖尿病と診断される。重度のものとなると、透析の必要が出てくることもあり、透析には年間1人あたり500万円以上の医療費がかかるとされる。

HbA1c、7割以上の人が「知らない」という現実

自身の血糖レベルがどれくらいかを知るには、健康診断、人間ドックでの検査が必要になるが、重要になってくるのがHbA1cという項目。このHbA1c という指標がどれほど認知されているか、35〜60歳男性200人を対象にしたアンケート(日刊SPA!編集部独自調査)結果は以下のとおり。 Q1 自身の血糖レベルを知るHbA1cという指標を知っていましたか? ・よく知っている 21人 ・それなりに知っている 35人 ・あまり知らない 54人 ・まったく知らない 90人  実に7割以上の人たちがHbA1cについて「知らない」と回答。HbA1cとは採血時点から過去1〜2か月の平均的な血糖レベルを示す指標のことで、糖尿病の診断に使われる。医師100人を対象にした調査で、コロナ禍における健康診断・人間ドック受診患者の数値が「悪化した」検査項目1位というから無視できない。

体に蓄積される血糖…気づいたときには「時、すでに遅し」

HbA1c 恐ろしいのが、糖尿病とまではいかなくても、高血糖の状態が続くことで、体内に血糖が蓄積され、その蓄積は借金の利息のように複利で利子がついていく。いわば“血糖負債”だ。様々な健康障害を引き起こし、後から血糖値をコントロールしようとしても、手遅れになってしまうという。にも関わらず「血糖値が高くなってから対処すればいい」という意見が大半であることは、Q2の回答結果を見れば明らかだ。 Q2 普段、血糖値についてどれだけ意識していますか? ・常に意識している 21人 ・太ったら意識する 13人 ・健診時に医師から注意されたら意識する 56人 ・何かしら病気にかかったら意識する 27人 ・特に意識はしない 83人

血糖負債が高いことで体に起こる悪影響

 血糖レベルが高い状態が続くと、糖尿病の診断基準に至らない段階から、様々な身体の問題が起こり始める。  活性酸素が過剰に作られることで細胞を傷害する「酸化ストレス」、タンパク質と糖が結びつくことで血管系の病気に繋がる「終末糖化産物(AGEs)」、過剰な炎症が起きて有害性を帯びる「慢性炎症」、血糖値を下げるインスリンの働きが低下する「インスリン抵抗性」、内臓や器官の機能を低下する「細胞老化」などが一例だ。その結果、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、がん、認知症といった深刻な合併症を発症する事態となる。  利息で借金が雪だるま式に膨らんだ状態で「がむしゃらに働いたところで返せるのは利息だけ」という光景を想像すると、この“血糖負債”がどれほど深刻なものかは理解しやすいだろう。医師に指摘された段階からおもむろにジム通いを始め、極度な糖質制限の食事をしたところで、蓄積された血糖の利子を返すのがやっと…人間、そんなに夢のない生活を続けられるものではない。  つまり、普段の日常から、無理なくコツコツと、血糖レベルを上げない生活をしていくことが、重要となってくるのだ。

血糖負債を溜めない運動&食事習慣とは?

ウォーキング

写真はイメージです

 では、ムリのない範囲で、血糖負債をためない日常の生活習慣とは、どんなものだろうか。大きくわけて、運動療法と食事療法の2つがある。運動療法は、1日20分程度の“少し息がはずむ程度の運動”が必要だ。  これは、電車を一駅前に降りて歩く、オフィスまでエレベーターを使わずに階段を使うなど、ルーティーン化してしまえばクリアできる。「リモートワークが多くて通勤時間がなくなった」という人でも、昼食時に、少し足を伸ばした場所へ足を運ぶなどを習慣化したい。Q1でHbA1cを「よく知っている」、Q2で血糖値について「常に意識している」と回答した人たちの対策を見てみても、「毎日1万歩を歩く」(大阪府・39歳)、「週1で山歩きをしている」(兵庫県・53歳)、「徒歩で移動できる場所にいくときは、可能な限り徒歩移動を心がけている」(茨城県・39歳)、「定期的な有酸素運動」(秋田県・41歳)など、日常生活の中で、意識的に運動を取り入れていることがわかる。  一方、現役世代にとって習慣化するのが難しいのが食事療法だ。野菜、果物の摂取や玄米ごはん、シリアルなどの未精製穀類を摂るのが推奨されているが、毎食自炊するわけにもいかない。管理栄養士の望月理恵子先生に、コンビニや外食に頼りがちなサラリーマンでも習慣化できる食事療法の工夫について聞いてみた。 「糖質ファーストになりがちなコンビニ、外食では、常に主食の他に、タンパク質を多く含んだ主菜、副菜を揃えるのが基本です。例えばコンビニのおにぎりだったら、タンパク質のゆでたまご(主菜)と食物繊維のコールスロー(副菜)を足すとか、自分で定食を作るイメージで組み立ててみることが大事です。真っ先に炭水化物をとると血糖値が急上昇するので、先に主菜、副菜をよく噛んで食べるのが大切で、咀嚼することで、ボリュームがドーンとした主食を揃えることなく、適度な満腹感を覚えます。そんなにあれこれ買えないよ、という人は、食前にヨーグルトや野菜ジュースをとるだけでもOKです。厳禁なのは、おにぎりとカップ麺など炭水化物同士を組み合わせること。また、丼ものも、定食のご飯1膳より1.5倍ほどご飯が多いので、なるべく避けるように。どうしても食べたいときは、繰り返しになりますが、野菜、タンパク質を一緒に添えるようにしましょう」

急激な糖質制限は禁物のワケ

ヨーグルト

どんな食事シーンにも合わせやすいヨーグルトは万能だ

 コンビニで買える副菜としては、他にも魚肉ソーセージやサラダチキン、ホットスナックのフランクフルト、煮魚、焼き魚などのチルド商品など、タンパク質ファーストの商品は探せばいろいろある。探すのが面倒で弁当だけ、という時でもヨーグルト1個を付け加えるだけでも違ってくる。 「この法則は外食でもあてはまります。ラーメン屋だったら、ラーメンを大盛りにしたりご飯を足すのではなく、もやし、チャーシュー、たまご、わかめなど、トッピングを多めにして先に食す。焼肉屋だったら、チョレギサラダやナムル、キムチ、卵スープなどで、メインを食べる前にお腹をふくらます、主菜、副菜が何かあるかを意識して見つけてください。ちなみにお酒の席では、空腹時にお酒を飲まないということが大切です。お酒の種類に関わらず、アルコール自体が血糖値を上げやすいので、枝豆、お漬物、冷奴などを食べてから飲む。飲んだ分、チェイサーを入れることもいいですね」  血糖値を下げようと、極度な糖質制限に走るのは考えものだ。 「体にストレスを感じてなければそれでもいいのですが、糖質を極端に減らしてしまうと、やっぱりイライラしやすくなったり、ボーっと集中力がなくなったりします。ストレス自体が血糖値をあげる要因にもなりますし、糖質制限をしている方が、“たまのご褒美”と甘いものをとったりすると、いつも以上に血糖値が急上昇します。急上昇した血糖値は急降下するものですが、激しいアップダウンを繰り返すよりも、ゆっくりと上げてゆっくりと下げるというのを目指してください。代謝という点では、やはり夜よりも日中の活動時間に代謝が大きくなりますから、生活全般的に朝型に切り替え、寝る2、3時間前には食べない。お腹が空いて眠れないという方は、眠れないこともストレスに繋がりますから、ヨーグルトのような消化のいいものを、少し体に入れてあげる程度にしましょう」  血糖負債を溜め込まないためには、常日頃から、ムリなく生活習慣を改善させる必要がある。長続きしない過剰な運動や食事制限に頼るのではなく、細く長く、血糖を溜め込まない体づくりを意識すべき、なのだ。 【日刊SPA!編集部調査概要】 調査方法:アイブリッジ(株)提供の「リサーチプラス」モニター(30~55歳男性)に対してアンケートを行い、その結果を集計したものです。 調査期間:2021年9月14日 有効回答者数:35~55歳男性200人 <提供/一般社団法人 日本生活習慣病予防協会>
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